「ペアローン」や「50年ローン」に潜む危険性

ペアローンは同居人2人の収入を別々に審査し、それぞれが債務者であるのと同時に、お互いが連帯保証人になって組む住宅ローンです。ペアの概念は、夫婦でも同性パートナーでも、あるいは親子でも良いのですが、それぞれに安定した収入があれば、通常の住宅ローンに比べて、より大きい金額の融資を引き出せます。

また返済期間50年の住宅ローンは、文字通り最長の返済期間を50年に設定できます。従来は35年が最長でしたが、それを15年も伸ばしたことで、月々の返済金額が抑えられるため、月々の返済金額だけを見れば、何となく返済できそうな気分になるのがミソです。

ただ、メリットばかりではありません。高額物件でも購入できる可能性が高まるペアローンですが、夫婦で組んでいた場合、離婚という事態になると、自宅を売却するか、もしくはいずれか一方が住み続ける代わりに、残債を引き受けることになります。特に後者の場合、一人で残債を引き受けられるだけの金額かどうかを、熟考する必要があるでしょう。やたら高額物件を買っていた場合などは、返済負担がかなり重くなる恐れがあります。

また返済期間50年の住宅ローンも、融資可能額が増えるというメリットはあるものの、返済期間が長期化する分だけ金利負担が重くなるというデメリットがありますし、そもそも50年という長期間のローンを背負うことが、QOLの観点から正しいのかどうかという点は、しっかり考えるべきでしょう。

何しろ30歳でローンを組んだとしても、それを払い終わる時にはすでに自身は80歳で、手元には築50年のボロ家が残るだけなのです。資産価値が下がらないヴィンテージマンションを購入するなら話は別ですが、ごく一般的なマンションを購入するのに50年もの住宅ローンを組んだりすれば、ローンを完済する時のマンションの資産価値は、ほぼゼロに等しくなっているかもしれません。