東京23区の分譲マンションはもはや「億ション」になっている
マンションでも戸建てでも、家を買うには相応に大きな資金を動かす必要があります。自己資金で足りなければ、ローンを組みます。特に昨今のように、マンション価格が値上がりしている時はなおのことです。
不動産経済研究所が公表している7月の新築マンション市場動向によると、東京23区の平均価格は、前年同月比で18.5%下がったといっても、1億874万円です。ちなみに2016年時点では6629万円でしたから、都心の新築物件がいかに値上がりしているかが、分かります。
もちろん需要があるから物件価格が上昇するわけですが、あまりにも物件価格が値上がりし過ぎると、別の問題が生じてきます。それは「高すぎて買えない問題」です。買い手がいなくなってしまったら、マンションを建て、それを販売して売上、利益を生み出しているマンションデベロッパーにとっては死活問題です。
また、大きなマンションを一棟建てるには、鉄やガラス、コンクリなどさまざまな材料が必要ですし、完成すれば家具、家電などさまざまな必需品に対する需要も生じてきます。マンションや戸建ては非常に裾野の広い業種なので、それだけ大きな経済波及効果をもたらします。マンションなどの売れ行きが鈍れば、こうした経済波及効果をも縮小させてしまうおそれがあるのです。
マンションデベロッパー、マンション建設に必要な原材料をつくる会社、家具や家電のメーカー、それらの販売店、さらには住宅ローンを提供する金融機関などが属する、言うなれば「マンション経済圏」を維持するためには、より多くの人にマンションを購入してもらわなければなりません。
そして、一人でも多くの人が、これだけマンション価格が高騰しているなかでも、「ひょっとしたら自分でも買えるのではないか」という気持ちにさせるための装置として考えられたのが、「ペアローン」であり「返済期間50年の住宅ローン」と言えるのかも知れません。