3度のがん

これまで下島さんは、3度がんになっている。

1度目は離婚した翌年、37歳のときに直腸がん。

下血、腹痛、下痢に気付き、インターネットで検索すると「大腸がん」と出てくる。怖くて仕方がない半面、「お金もないし、この年齢で自覚症状が出たら末期。手遅れだ」と自己判断し、数ヶ月放置。

しかし日に日にしんどくなり、立っているのもやっとな状態で、ついに受診する。

身体のしんどさは、「下血と子宮内膜症による重症の貧血」だった。医師は、「男性なら立っていられない数値」と言い、「直腸がん」と診断。

手術は、直腸とリンパ節13ヶ所、腸との癒着が酷かったため子宮全摘、片側の卵巣摘出となり、ステージ3a。人工肛門はまぬがれた。

その後半年間点滴、2年半飲み薬の抗がん剤治療を受けた。病院まで送迎してくれていたのは父親だった。

「吐き気が起こることを心配してくれたんです。検査の度に弱気になる私に父は、『大丈夫だ。なんとかなる。心配するな』と言葉をかけ続けてくれました。父なりに私に愛情を持っていてくれたと気づかされました」

2度目は2018年。52歳のときに乳がん。

両親の介護のさなかだった。左乳房に痛みがあり、隙を見て乳腺外来を受診すると、乳がんと判明。全摘手術を受け、現在もホルモン剤を飲んでいる。

3度目は2022年。55歳のときに上行結腸がん。

37歳のときに受けた直腸がんの術後検査に、介護のせいでなかなか行けずにいた。大腸カメラの検査は時間がかかるため、介護や育児のキーパーソンにはハードルが高いのだ。

ようやく行くと、その場で取れない大きさのポリープが見つかり、結局入院して内視鏡手術を受けることに。

ポリープはがん化していたが、取って終わりとなり、今後は2年毎に検査を受けることを勧められた。