過去の売れ筋ファンドの“勝敗”を検証
では、これらのファンドを買って現在まで保有し続けていたら、どうなっていたのでしょうか。上位5ファンドについて詳しく見ていきましょう。
2020年2月末時点でのリターンはそれぞれ、1位で188.61%、2位で80.05%、3位は29.01%、4位は9.48%、5位が46.71%と、1位のフィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)は特に約1.9倍と2倍近くにもなっています。
コロナショックまでの10年間は、米国のNYダウが約3倍、日本の日経平均株価は約2.4倍と、日米ともに上昇相場にあり、リーマン・ショック後の市場低迷期は投資タイミングとしてはある意味絶好と言え、「コロナショックまでは、先進国株式型であれば、どのファンドに投資していたとしても儲かる期間だったという点は考慮すべきでしょう」と清家氏は補足します。
ファンドの人気度合いとパフォーマンスに相関性はあるのか
とはいえ、現在ほど「顧客本位の業務運営」が重要視されておらず、こうした販売側の都合が生み出した「売れ筋ファンド」であっても、保有し続けていればプラスになりました。
この結果は、マーケット要因もありますが、投資信託が優れた金融商品だということ示す一つの証左と言えます。個人投資家が投資信託のように海外資産への分散投資をすることは簡単ではありません。
他の時期の売れ筋ではどんな結果になるのか、あるいは、国内株やバランス型など別のカテゴリーではどういった結果になるのか等、さらに検証を重ねる必要はありますが、今回の結果では、売れ筋ファンドの運用成績が良く、販売会社の都合で生み出された売れ筋ファンドは悪いなどと単純に言い切れる相関性は見られませんでした。
足元では、新型コロナウイルスの感染拡大が国内外の経済市場に大きな影響を与えていますが、相場調整局面を経ても「持ち続けること」が有効に働くのか、次回はその件も含めて検証します。