カゴメが女性を重視する戦略的な理由
カゴメの人材戦略で特に目を引くのが女性の活躍です。女性の雇用における数値目標を設定し、毎年取り組んでいます。
【女性の雇用に関する数値目標】
目標 | 実績(2023年) | |
総合職の新卒採用に占める女性比率 | 60%以上 | 54.5% |
入社10年以内女性の継続就業割合(男性比) | 1.0 | 1.0(見込) |
管理職の女性比率 | 12% | 9.6% |
出所:カゴメ 統合報告書2024
2040年頃までの長期ビジョンとして「社員から役員まで各職位の女性比率50%」という目標も掲げています。
カゴメの従業員の女性比率は2023年に32%に達しました。新卒採用の女性比率目標(60%以上)から、若年層ほど女性が多い構造となっています。40代~50代が中心の管理職は女性比率が低い状況ですが、若年層のキャリアが進めば管理職の女性比率も上昇するとみられます。
なお役員の女性比率は高水準です。2023年7月で37.5%と、食料品の上場企業ではサントリー食品インターナショナルに次いで2番目に大きな割合となっています。
【食料品上場企業の女性役員比率の上位3社(2023年7月末)】
・ サントリー食品インターナショナル:44.4%
・ カゴメ:37.5%
・ コカ・コーラ ボトラーズジャパンHD:33.3%
・(参考)食料品上場企業の平均女性役員比率:11.9%
出所:内閣府 男女共同参画局 女性役員情報サイト
カゴメの女性重視は経営上の戦略的な理由からです。
カゴメは企業戦略としてダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂)を進めており、女性活躍の推進はその一環です。
人口減少が進む中、人材の確保には誰もが働ける職場づくりが欠かせません。カゴメは女性を含む多様な人材が安心して働ける環境を整備し、持続的な成長を目指しています。
働き方改革で収益は? イノベーションで「ありたい姿」実現へ
従業員の柔軟な働き方を支援するカゴメですが、生産性や収益性はどうなのでしょうか。
カゴメの従業員1人あたりの売上収益は2023年度で7700万円と、2018年度(同7300万円)の水準を維持しています。本業の利益に相当する営業利益も、売上に占める割合は同業他社に引けをとりません。
【営業利益率の比較(連結、2022年度)】
・ カゴメ:6.2%
・ プライム上場企業(食料品):5.18%
※カゴメは2022年12月期
※プライム上場企業(食料品)は2023年3月期決算企業44社の集計
出所:カゴメ 主な経営指標(IFRS)、日本取引所グループ 決算短信集計結果
カゴメは2025年までに「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」という目標を掲げています。現在はその最終段階である第3次中期経営計画の推進中です。
基本戦略には「挑戦する風土の醸成」も組み込まれました。カゴメは育んできた多様な人材をイノベーションの創出につなげ、計画の仕上げに入ります。