ツルハ子会社化を発表 好採算のドラッグストアで利益率改善へ

イオンを巡ってはツルハHDの子会社化も話題です。

イオンとウエルシアHDは2024年2月、ツルハHDと経営統合に向け協議を開始したと発表しました。一連の取引を経て、最終的にツルハHDはイオンの連結子会社、ウエルシアHDはツルハHDの完全子会社となる内容です。合意は遅くとも2027年末までの締結を目指しています。

ウエルシアHDはドラッグストア業界で首位、ツルハHDは2位の企業です。統合が実現すれば売上高2兆円を超える企業連合が誕生します。

【主なドラッグストア企業の売上高(2023年度)】
ウエルシアHD:1兆2173億円
・ツルハHD:1兆0330億円(※)
・マツキヨココカラ:1兆0225億円
・コスモス薬局:9160億円(※)
・スギHD:7445億円
※ツルハHDとコスモス薬局は第3四半期時点の予想、その他は実績

出所:各社の決算短信

ドラッグストアは好採算の事業です。イオンの小売事業において、ドラッグストアのヘルス&ウエルネスは営業利益、営業利益率ともに最大です。

イオンは2025年度までに営業利益3800億円、営業利益率3.5%を目指しています。2023年度の実績はそれぞれ2508億円、2.6%でした。利益率の高いドラッグストア事業を強化し、目標の達成を目指します。

なお、統合に先立ってイオンは香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントからツルハHDの株式を取得します。取得は2024年3月を予定しており、議決権比率は19.9%に達する見込みです。

法令の許認可等を得られれば、イオンはツルハHD株式を追加取得します。追加取得で議決権比率は27.2%に達し、ツルハHDはイオンの持ち分法適用子会社となる見込みです。

持ち分法適用子会社となった場合、ツルハHDの経営成績はイオンの営業外損益に反映されるとみられます。統合の最終的な合意は2027年末までとしていますが、ツルハHD取得の影響はそれより早く表れそうです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)