縁故入社はお断り、接待・贈答も禁止、目を見張る公正・公平な社風

このような高い平均年収を誇る会社ですから、相当厳しい成果主義や労働環境を想像するかもしれません。一方でキーエンスは評価制度において成果と同様に「プロセス」を重視しています。両者の因果関係を明確にし、良いプロセスによって良い成果を挙げた人を高く評価する制度を導入しています。「良いプロセスを全社に共有すること」も評価基準となっており、成果を全社で最大化する意識が生み出されています。

離職率については平均年齢が36歳と若いため高い値を想像するかもしれませんが、ここ5年間でみると5%前後です。平均年齢が若い理由は事業規模の拡大に伴い、直近10年間で積極採用を行ったためです。

健やかに働くためには健康管理も重要です。キーエンスでは毎年の定期健診はもちろん、35歳以上の社員やその配偶者についても人間ドック受診の全額補助があるなど充実しています。

自由に議論できる職場環境づくりも進められています。年齢や入社年次にかかわらず、自分の意見を遠慮なく言えることを重視。会議では役職などで席次を決めずに来た順に座る、部長や課長などの役職名ではなく全員が「さん」付けで呼び合うなど公正・公平な風土が根付いています。その証左に役員や社員の3親等以内の入社は不可、取引先との接待や贈物は禁止など明確なルールがあります。

基本的な福利厚生として雇用・労災・健康・厚生年金などの各種社会保険完備、時間外手当、地域住宅補助、通勤手当などの手当も充実しています。また、一般の住宅を会社契約にする借上住宅制度や運用方法を自分で決める退職金制度(確定拠出年金)も導入しています。

教育制度も充実しています。責任者として業務を任せ、将来のリーダーを養成するMDP(Management Development Program)制度を始め、元の所属を維持したまま一定期間、他部署で業務を経験するCDP(Career Development Program)制度では、専門外の仕事を経験することで視野を広げる、新たな能力を発見するなどを目的としています。最近では海外現地法人へ赴任する海外CDPも増えています。

従業員満足度調査は70%超を達成、厳しくもオープンな会社で成長

なおキーエンスは社会貢献活動の一環として学生に対する奨学金制度を運営していますが、こちらも界隈では有名です。年間約600人程度に月額10万円(大学4年間で総額400万円)を支給しており、運営するキーエンス財団で学業成績、経済状況、小論文などを基に選考しています。この制度は意欲ある学生からの注目度が高く、積極的な社会貢献の一端といえるでしょう。

従業員満足度についても、組織とのつながりを測る調査であるエンゲージメントサーベイで目標とする70%以上のスコアを達成するなど前向きな結果が出ています(2023年)。類まれなる高収益企業の秘訣は高水準の給与体系、長期休暇などの福利厚生で社員に還元する、オープンで公明正大な社風のもと、実力を発揮できる環境にありそうです。