「不動産バブル再来ではない」といえる理由
これまで地価上昇というと、東京23区をはじめとした大都市圏だけの現象というイメージでしたが、インバウンドや交通機関整備、そして半導体をはじめとしたモノの生産拠点を日本に移す動きが出始めるなか、地価上昇の動きが徐々に、地方にも波及しつつあります。
こうなると「不動産バブルの再燃か?」という見方が出てきがちですが、実は案外、そうでもないのかも知れません。ある不動産エコノミストは、「長期的に公示価格を見ると1991年が最も高く、全国全用途平均は前年比11.3%の上昇となりました。対して2024年のそれは、1991年に次ぐ上昇率とはいえ、わずか2.3%の上昇率に過ぎず、バブルと言うにはほど遠いのが現実」ということでした。
株式市場でも、1980年代のバブル期には、日経平均株価採用銘柄の平均PER(指数ベース)が60倍を超える水準まで買われましたが、同平均株価が過去最高値を更新した現時点でも、20倍を少し超える程度(指数ベース)で推移しています。バブル崩壊を懸念する声も聞こえてきますが、株価も地価も、案外落ち着いた状態を維持していると見るのが、妥当なのかもしれません。