多くの人にとって、マイホームは人生最大の買い物でしょう。その買い物に大きな影響を与えるのが、土地のお値段「地価」です。

特に東京は1398万強の人口を誇り、日本全体の人口1億2526万人の1割強を占めます。それほどの人口が、47都道府県中3番目に狭い面積の土地に暮らしている――そんな東京で、マイホームを建てることは果たして現実的なのでしょうか。

先日、国土交通省より発表された令和4年「地価公示」から、今の東京の地価を探っていきましょう。なお、本稿では「住宅地」の価格を見ていきます。

公示価格とは? なぜ国土交通省が標準的な地価を公表するのか

本題に入る前に、そもそも地価の「公示価格」とは何かに簡単に触れておきます。

公示価格とは、地価公示法に基づき国土交通省土地鑑定委員会が標準地を選定して、毎年1月1日時点の1㎡当たりの“正常な価格”を判定し公示するもの。令和4年には、全国2万6000地点(うち、福島第一原子力発電所の事故の影響による7地点で調査を休止)が選定、確認されました。その目的は「適正な地価の形成に寄与」するためとされています。

では、なぜ国が“正常な価格”、言い換えるならば標準として参考にすべき地価を公的に知らせる必要があるのでしょう。

そもそも量産される“モノ”と違い、土地はそれぞれ形状、地点どれをとっても1つとして同じものはありません。それに土地取引は、最終的には売主と買主との契約で成り立つものですから、地価(実勢価格)は多様な要素が絡まって決まるのです。

しかし、そうした市場原理だけに任せていたら、バブルのように地価が極端に高騰するかもしれません。また、公共事業を進めるにあたり、取得価格算定の拠り所となる規準がなかったら、それこそ極端に言えば権利者の“言い値”で買うような事態になったら、税金のムダ使いにつながる可能性も否定できません。

主にこうした理由から、国土交通省は地価を公示しているのです。

さて、公示価格の基本が分かったところで、本題である東京都の住宅地の地価公示価格をひもといてみましょう。