商業地の地価は、「インバウンド」の影響が色濃く

商業地は、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され始めた2020年の全国平均が3.1%の上昇率を見せたものの、その後は行動自粛に伴う人流や、インバウンド客の大幅減少によって、2021年は0.8%の下落となりました。そこから徐々に回復基調をたどり、2024年の上昇率は、2020年のそれに追いついています。

上昇に寄与した都道府県を見ると、人流回復やインバウンド復活の影響が色濃く出ています。北海道の5.1%上昇、東京都の6.3%上昇、神奈川県の5.4%上昇、千葉県の5.3%上昇、大阪府の6.0%上昇、京都府の5.1%上昇、福岡県の6.7%上昇、沖縄県の5.0%上昇、といった具合です。いずれも国内観光客、外国人観光客が集まりやすい場所ばかりです。また再開発によって利便性や賑わいの向上が期待されていることなども、地価上昇に寄与していると考えられます。

半導体、新幹線の延線…ニッポンの「今」を表す現象も

その他、特需的な要因によって、地価の上昇が目立っている地域もあります。たとえば、鉄道の新路線が開業したことによって交通の利便性向上への期待が高まり、地価が上昇しているケースです。

代表的なケースとしては、今年3月に開業した北陸新幹線の金沢―敦賀間があります。

敦賀市のある福井県の地価は、住宅地こそ前年比マイナスが続いているものの、徐々にマイナス幅が縮小しており、かつ県庁所在地である福井市の住宅地地価は、連続して前年比マイナスだったのが、2024年は0.3%のプラスに転じました。

また商業地は、北陸新幹線の延伸による経済効果が期待されているからか、2024年はすでにプラスへと転じ、なかでも福井市の商業地は、2.1%という高い上昇率を示しています。