日銀がマイナス金利の解除を決定しました。
「マイナス金利」とは、銀行が日銀に預けてあるお金の一部に適用される金利をマイナスにするというものです。
金利は基本的にお金を借りる側が、お金を貸す側に対して支払うものですが、この金利をマイナスにすると、お金を貸す側が、お金を借りる側に利息を支払うことになります。これは、どう考えても理屈に合わない話であり、そんなことを日本においては2016年2月から、8年間にもわたって継続してきたのです。
なぜ、そんな理屈に合わない金融政策を長々と続けてきたのかというと、それ以前から消費者物価指数の上昇率を2%にするため、大規模金融緩和を実施したにも関わらず、一向に物価が上昇へと転じなかったからです。そのため日銀は、金融緩和の効果をさらに高めようとして、マイナス金利政策を実行に移しました。
マイナス金利といっても、個人にはそれほど大きな影響はなかったはずです。強いて挙げれば、普通預金利率が年0.02%から年0.001%に下がった程度でしょうか。100万円を1年間預けた時の利息が、年200円から10円になっただけなので、ほとんどの人は意識することもなかったはずです。
逆に、今回のマイナス金利解除が報じられた直後から、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、PayPay銀行は、その日のうちに普通預金利率の引き上げを発表したものの、その利率は、年0.001%から年0.02%、もしくは0.03%になっただけです。
確かに、ニュースなどでは「普通預金利率が20倍に」などと、大げさな報じられ方がされていましたが、100万円を1年間預けて得られる利息が、10円から200円、300円になっただけのことです。
つまりマイナス金利が導入された時と同じように、マイナス金利が解除されたといっても、預貯金に置いてあるお金が、適用利率の引き上げで大きく増えるようなことにはならず、したがって大半の人にとっては、何の経済的なメリットもないのです。