住宅ローン「変動金利型」には、いきなり返済額が増えない仕組みがある
今回の短期金利におけるマイナス金利の解除で、何となくざわついているのは、住宅ローン界隈でしょう。
昨年10月31日に、YCCにおける長期金利の上限となる1%を超える取引を容認した時は、「長期金利の上昇は変動金利型住宅ローンの金利には影響しない」ことが、しっかりアナウンスされたこともあって、大きな騒動にもならなかったのですが、短期金利のマイナス金利が解除されると、変動金利型住宅ローンの適用利率が見直される可能性が生じてきます。
なぜ、マイナス金利が解除されると、変動金利型住宅ローンの適用利率が見直される可能性が高まるのかというと、変動金利型住宅ローンは短期金利を基準にしているため、短期金利の指標である「短期プライムレート」に連動して、その金利水準が決まるのが一般的だからです。
したがって、今回のように短期金利のマイナス金利を解除するとなれば、短期金利の水準が上方修正されるのと共に、短期プライムレートが上昇し、それによって変動金利型住宅ローンの適用利率も引き上げられる可能性が高まってくるのです。
とはいえ、変動金利型住宅ローンには、「5年ルール」や「125%ルール」によって、いきなり月々の返済額が急増しないような仕組みが設けられています。
5年ルールは、その間に住宅ローン金利が上昇したとしても、5年間は月々の返済金額が同一で、6年目から引き上げられるというルールです。いきなり返済額が引き上げられるわけではないので、その間に心の準備だけでなく、実際にどのような対処をするのかを決められます。
とはいえ、この5年間の金利上昇が非常に著しい場合など、「6年目以降の返済額が急増したらどうしよう」と考える人もいらっしゃるでしょう。
ここで効果を発揮するのが「125%ルール」です。これは、たとえ大幅に金利が上昇したとしても、月々の返済額が25%を超えて増えることはない、としたルールです。
この2つのルールが設けられているので、金利が上昇したからといって、変動金利型住宅ローンの金利も大幅に増えることはありません。
ただし、この2つのルールによって、月々の返済金額の増加がある程度、抑えられたとしても、返済の総額が減るわけではありません。住宅ローンは原則として、返済期間の延長が認められていません。35年で住宅ローンを組んだとして、残債があるからという理由で36年に延ばすことは認められないのです。
もし、金利が上昇した分、返済金額が増えたことによって、返済期間が終了する段になっても残債がある場合は、返済期間の終了時に元金と未払い利息の一括返済を求められることになります。