「新NISAは金持ち優遇制度ではないか?」という批判の根拠は…
2024年からの新NISA、2023年までの旧NISAと比較すると、年間投資枠については、つみたてNISAの年40万円が、つみたて投資枠では年120万円になり、一般NISAの年120万円が、成長投資枠では年240万円になりました。また、先ほども申し上げたとおり、つみたて投資枠と成長投資枠は両方利用できますので、合計で年360万円の非課税投資ができることになります。さらには、非課税保有期間は無期限化され、制度自体も恒久化されましたので、お金を持っていれば持っているほど有利になる、新NISAは一見すると、そんな制度にも思えるのです。
ただ、こうした富裕層優遇批判は、制度設計時から想定されていたことですね。例えば、令和5年度税制改正大綱※1には、以下の記載があります。
一方、投資余力が大きい高所得者層に対する際限ない優遇とならないよう、年間投資上限額とは別に、一生涯にわたる非課税限度額を設定することとする。その総額については、老後等に備えた十分な資産形成を可能とする観点から、現行のつみたてNISAの水準(800万円)から倍増以上となる1,800万円とする。また、「成長投資枠」については、その内数として現行の一般NISAの水準(600万円)の2倍となる1,200万円とする。
※1 出所:自由民主党・公明党「令和5年度税制改正大綱(令和4年12月16日)」
そうです、新NISAで新たに導入されたルール、「非課税保有限度額」のことですね。年間投資枠の大幅拡大も、非課税保有期間の無期限化も、この新ルールとセットで考えれば、新NISAは金持ち優遇制度だとは言えない、そういうことだと思います。
この「非課税保有限度額」という新しいルール、政策的に意図していたのかどうかは分かりませんが、富裕層優遇批判を回避するためだけに導入されたわけではない、そんなふうにも思います。どういうことなのか、おいおいご説明しましょう。