日本の半導体関連企業に投資すれば世界的な生成AIの流れに乗れる
そもそも、「日本の企業=日本でビジネスを行っている企業」と自動的に脳内変換していないだろうか。「長い目で見ると日本は国力が低下していくから……」と、日本株を投資対象から除外していたのだとしたら、今こそその考えを改めるタイミングだろう。
冒頭で触れた東京エレクトロンをはじめ、昨今の株高をけん引してきた日本の半導体関連企業は、「海外で稼ぐ」企業の典型例である。海外売上高比率が60~80%超と高く、東京エレクトロンに至っては売上の実に9割を海外が占める。つまり、日本企業に投資することで、世界的な生成AIの大きな流れに乗ることもできるのだ。
日経平均株価の最高値更新と時をほぼ同じくして、米ゴールドマン・サックスが、日本の株式市場をけん引する7つの有力銘柄を「Seven Samurai(7人の侍)」と名付けて公表したが、このうち4銘柄を占めたのも半導体関連企業(製造装置メーカー)であった。
●米ゴールドマン・サックス選定の「7人の侍」
この4銘柄は日経平均株価に採用されているので、インデックスファンドを通じて間接的に投資することもできる。また、東京エレクトロンは本連載でも度々取り上げてきた「One国内株オープン」(アセットマネジメントOne)や、「コモンズ30ファンド」(コモンズ投信)をはじめ、好成績を収めている多数のアクティブファンドに組み入れられている。
上記の4銘柄以外にも、信越化学工業、ルネサスエレクトロニクス、ニデック、キーエンス、ロームと、半導体製造に関連する日本企業は実に多岐にわたる。
半導体製造の過程はとても複雑でかつ多くの企業が関わっているのだが、日本企業が特に強みを持っているのが、製造装置と素材(ウエハー)の分野である。ちなみに、冒頭で触れた米エヌビディアは、画像半導体の設計で随一の技術を誇り、また、熊本・菊陽町の工場設置が話題の台湾TSMCは、半導体の受注生産で世界一のシェアを持つ。つまり、一口に「半導体」と言っても、各社の専門性も関わり方も異なるのである。
最近は、米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成される「SOX指数」(「フィラデルフィア半導体指数」ともいう)への連動を目指すインデックスファンドがじわりじわりと人気を集めているが、日本の半導体関連企業が多く含まれる下記のような投資信託やETFとの組み合わせを検討しても良いだろう。
・情報エレクトロニクスファンド(野村アセットマネジメント)
・フィデリティ・テクノロジー厳選株式ファンド(フィデリティ投信)
・ジャパン半導体株式ファンド(日興アセットマネジメント)
・半導体関連 日本株式戦略ファンド(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
・日本ニューテクノロジー・オープン(SBI岡三アセットマネジメント)
・グローバルX 半導体関連 ― 日本株式 ETF (Global X Japan)
※すべて新NISA成長投資枠適格
以上の通り、今回は昨今の株式市場をけん引している半導体関連企業を例にとって日本株投資を考えてみたが、近年は、半導体以外の分野でも、業種に関係なく企業買収などを通じてグローバル展開する企業が増えている。
既に全世界株式やS&P500のインデックスファンドを保有、または積み立てているなら、将来性が期待できる分野や業種を絞り、日本株を取り入れるというのも1つの方法としておすすめしたい。