106万円の壁 2024年10月からは従業員50人超の企業も対象
従業員100人超(※1)の会社で週20時間以上働く場合には、収入が一定額(年収106万円、月収8.8万円)を超えると、社会保険が適用され、第2号被保険者にならざるを得なくなります。従業員100人超の企業で「106万円の壁」を超えないように働いている人は45万人で、106万円超130万円以下で働いている人は約15万人と想定されています。また、2024年10月からは、従業員50人超の企業まで適用対象が広がることから、新たに9万人が社会保険の適用を受けることになると試算されています(※2)。
さらに、ここ数年、最低賃金が引き上げられていることから、時給が引き上げられると「106万円の壁」を超えてしまう人が多くなりそうです。
例)時給1,000円で年間1,040時間勤務
→時給が1,020円にアップすると年収は106万円
この場合、年収が増えても社会保険料が約16万円(※3)差し引かれるため、手取りは90万円にしかなりません(この計算では税は考慮せず)。せっかく働いても、手取り収入が増えないという逆転現象を発生させないために、政府が実施しているのが、社会保険適用促進手当の設定やキャリアアップ助成金です。
社会保険適用促進手当は、企業が保険料相当額の手当てを支給した場合、本人負担分の保険料相当額を上限として社会保険料の算定対象としない、という施策です。さらに、社会保険適用促進手当を実施した企業に対し、従業員一人当たり初年度20万円等の助成金が設定されています。
適用事業所に勤務していて「106万円の壁」を超えた方は、新たに厚生年金が適用されるため、それまで第3号被保険者として加入していたiDeCoの種別変更届が必要になります。忘れずに手続きを行いましょう。
(※1)2022年9月までは従業員500人超の企業が対象。2022年10月以降に従業員100人超の企業に対象が拡大され、2024年10月以降は従業員50人超の企業まで対象となる。
(※2)第7回社会保障審議会年金部会 資料2(2023年9月21日開催)
(※3)厚生年金保険料:9.150%、健康保険料:5.91%(東京の協会けんぽで介護保険料含む)