毎月の4%の割合で資産が増えると仮定する

まずシミュレーションの前提として、“毎年4%の割合で資産が増えていく”こととします。この前提を聞いて、「毎年4%も増えるって、夢を⾒すぎじゃないの?」と思われるかもしれません。

しかし、この毎年4%という数字……私は、かなり現実的だと考えています。その根拠となるのが、⽶国の優良企業500社から作られたS&P500という指数です。ざっくり言うと“⽶国の株価を代表する数字”というイメージです。このS&P500指数は、2013〜2022年の10年間で平均14.8%のリターンとなっています。

直近ではコロナショックやロシア・ウクライナ問題などにより、以前ほど⾼いリターンは得られていません。しかしそれでも、

・直近5年平均:10.8%
・直近3年平均:9.0%

と、10%前後のリターンを実現できています。そこで最近の世界経済が不安定なことも加味し、「直近3年間、S&P500のリターンの半分ぐらい=4%」を、資産増加の前提としてシミュレーションします。

35歳の積立金額は「毎⽉2.9万円」の結果に

前置きが長くなりましたが、結論をお伝えします。35歳の方が65歳までに2000万円の資産を作るには【⽉2万8816円】の投資が必要となります。

現在、あなたが35歳の場合。資産ゼロの状態からでも、これから毎⽉2.9万円ほど投資にまわせば……定年である65歳時点で、2000万円の資産が形成できている計算になります。

毎⽉2.9万円であれば、何とかなりそうな気もします。ちなみに2000万円の資産を作れても、このケースでは新NISA枠である元本1800万円を上回ることはありません。具体的に言うと、「毎⽉2万8816円×30年間」の投資では、元⼿は

・2万8816円×12カ月×30年≒約1037万円

つまり、おおよそ1037万円分しか枠を使っていない(投資していない)ことになります。

これが、時間をかけて投資することの威⼒です。資産2000万円を貯⾦だけで達成するのであれば、当然元本2000万円が必要となります。⼀⽅で30年もの⻑い年⽉をかけて投資すれば、「たったの1037万円」が2000万円までに膨れ上がるのです。