今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、新NISA・イデコを活用して堅実に資産を作る最もシンプルな原則について解説した田村正之著『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』の一部を特別に公開します(全4回/本記事は第1回)。同書を解説する無料セミナー情報も!

※本記事は田村正之著『間違いだらけの新NISA・イデコ活用術』(日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再編集したものです。

イデコとNISA 使い分けはどうする

異なる利点、併用がお勧め

ここでもう一度、NISAとイデコ2つの仕組みをまとめてみます。

NISAの改革があまりにも大きく多くの人にとって非常に使いやすいものになっただけに、最近はどうもイデコの影が薄い印象があります。「NISAの生涯投資枠が1800万円あれば十分。NISAだけでいい」との声も多く耳にします。

しかし、2つの制度の利点は多くの点で異なっています。つまり、できる限り併用した方が、2つの制度の利点をフルに受けられるのです。

イデコをNISAと併用する意味をみていきましょう。最大の利点は、当然ですがNISAと合計した節税額の拡大。NISAで1800万円を使ったうえに、例えばイデコに月2万円で30年加入すれば720万円の実質的な非課税枠(受給方法に工夫が必要ですが)を上積みできることになります。

特にイデコがNISAと異なるのは、所得控除。掛け金が全額税金の対象からはずれ現役時代に減税となることでしたね。節税額は「掛け金額×その人の税率(所得税+住民税)」。

税率20%の人が月2万円を積み立てる場合、4000円が現役時代に節税になります。この節税分を自分できちんとNISAなどで再投資すれば、月に2万4000円の積み立てができることになります。

30歳で投資を始め、年4%運用の場合、本来の月2万円なら65歳時点で1806万円の資産になるはずが、イデコの節税メリットを生かしてその分も積み立てれば、2167万円と約360万円もの資産増になります。

仮に税率が3割と高い時期がずっと続けば、月に2万6000円積み立てることができ、65歳時点で2347万円と約540万円もの差です。こうした利点は、掛け金の節税メリットがないNISAにはないものです。

つまり税率の高い人ほど、そして掛け金を多く払える人ほど、イデコを使う利点が大きいということです。逆に言えば、所得のない専業主婦(夫)で両方を積み立てる余裕がない場合は、NISAを優先してもいいかもしれません。

<間違い>
非課税枠が大きく使い方も自由な新NISAだけでいい