外国債券投信をポートフォリオに組み入れる必要性とは

とはいえ、ポートフォリオに外国債券投信を組み入れる意味は何か、という点を改めて考える必要はありそうです。

そもそも株式と債券を組み合わせるのは、株価と債券価格の相関度が低い場合があるからです。相関度とは、お互いに違う値動きをする度合いを示したものです。

これを見る際には「相関係数」という数字があり、これが1に近づくほど似た値動きを、-1に近づくほど違う値動きをすると考えられます。

少し古い数字で恐縮ですが、三井住友DSアセットマネジメントの資料(「なるほど!ザ・ファンド 【Vol.150】相関係数って何?」)によると、2006年4月末から2022年4月末までの16年間における資産クラス別の相関係数を見ると、国内株式と国内債券の相関係数は-0.3ですから、ある程度異なる値動きをすると考えられます。

しかし、国内株式と海外債券の相関係数は0.6もあります。また海外株式と海外債券の相関係数は0.7です。つまり国内株式や海外株式を持っている場合、それに海外債券を加えたとしても、あまりリスクヘッジにはならないと考えられるのです。

外国債券投信というと、何となく安全性が高く、かつリターンもそこそこ得られるのではないか、というイメージが先行しますが、国内外の株式ポートフォリオを保有したうえで、その価格変動リスクをヘッジするために外国債券投信を組み入れるのは、あまり意味がない、という結論になるのです。

参考
・ニッセイ基礎研究所「2023年、投信市場で外国債券投資が復活?」
・三菱UFJ銀行「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
・三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)交付目論見書 2024.1.19」
・三井住友DSアセットマネジメント「なるほど!ザ・ファンド 【Vol.150】相関係数って何?」