実際の子供たちはどう思っているの? 金融教育の現場から
「高校生や大学生に投資を教えるのか」という反対意見はよく耳にしますが、実際に受ける側の学生さんたちはどう思っているのでしょうか。
高校や大学で授業を行っていると、資産形成については「初めて聞いたので難しかった」「よくわからなかった」「貯金が良いと思った」という意見はもちろんあります。一方、「NISAやiDecoに興味があったので制度をきちんと知れて良かった」「投資を始めてみようと思った」「必ずもうかる投資はないということを覚えておきたい」という感想も寄せられます。少しハイレベルな学生になると「いつ投資を始めても良いことは分かったが、では売り時は?」とか「iDeCoは病気になっても絶対に止められないのか」、はたまた「地元の銀行の案内には個人向け国債は元本割れの可能性があると書いてあったけど、財務省のHPを見ると書いていない。なぜか」などの質問を受けることもあります。ただ、全体を通して意外と多いのが、家計管理やお金の使い方、金融トラブルについての感想です。
家計管理では、「残ったお金を貯めるのではなく、先取りして貯める方が貯蓄しやすいということを知って驚いた」「働く形態によってこんなに生涯収入に差が出るとは知らなかった」「額面金額=口座に入ってくるお金だと思っていたので、使い方に気を付けようと思った」といった感想が聞かれます。また、ライフプランの項目でシミュレーションを行うと「選択肢一つでこんなに収支が変わるならしっかりと考えないといけないと思った」という感想が寄せられることも多いです。
金融トラブルの項目では、「SNSで流れてくる情報は、うのみにしないように気を付ける」という意見や「ローリスク・ハイリターンの商品はないと知った。自分は絶対にだまされないと思っていたけれど、リスクが低くてもうかる商品がないかな?と思っている時点でだまされる可能性があることに気づいた」なんていう感想もありました。
学生たちは投資に対して、授業の一環として受け入れている部分が多く、世間の声ほど資産形成を学ぶことに構えている印象があまりありません。だからと言って「今すぐ投資を始めなきゃ」「もうけたい!」「面白半分でやってみよう」という大人たちが心配するような感想を抱くわけでもなく、「もっと勉強してから始めようと思う」や「長期・積立・分散を意識して考えたい」、「まずは家計管理をしっかりしたい」という堅実な学生たちが多いように感じますし、本来の金融教育の意味をきちんと理解してくれているように思います。
自身の金融リテラシーを一度確認してみよう
若年層向けへのこのような金融教育は非常に大切ですし、今後も継続して行われていくべきものですが、最近では大人たち向け、特に勤務先での金融教育の重要性にもより注目が集まっています。確定拠出年金(DC)の継続投資教育は事業主等に対して努力義務が課されていますし、勤務先での金融教育の重要性は以前から指摘されてきたことです。
それに加えて、経済的な不安があると労働生産性にも影響を与えるということも明らかになってきており、これまで以上に大人への金融教育が重要視されるようになっています。勤務先等で「金融教育」を受けたことがない方は一足先に、また、ご自身の金融リテラシーに自信がない方やこれから投資を考えている方は、この機会に一度「お金に関する知識や判断力」を確認してみると良いかもしれません。前述した金融庁の「高校生のための金融リテラシー講座」を確認するも良し、手軽に挑戦できる金融リテラシークイズ(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/literacy_quiz/)もおすすめです。
それからでも投資を始めるのは遅くないと思いますよ。