高校での金融教育必修化から、はや2年。当時は「資産形成なんて教えられない!」という先生や、「子どもが学校で勉強してきても自分が分からない!」という保護者たちの声が多く聞かれました。元々高校の家庭科で行われていた金融教育において、資産形成にまで内容が「拡充された」というのが正確なのですが、メディアでも次々と金融教育の特集が組まれ、ニュースとして大きく報じられました。そのため、さまざまな情報により教育現場も世間も混乱しているような状況でした。

最近は少し落ち着いてきたように感じる一方、約1カ月前から新NISAがスタート。官民一体で進められる金融経済教育推進機構も今年の夏から本格稼働する予定であり、“大人”が「金融教育」を受けることや「金融リテラシー」を身につけることへの注目はまだまだ続きそうです。とはいえ、結局のところ、この「金融教育」「金融リテラシー」とは一体、なんなのでしょうか。

金融教育=投資教育?「人生にかかわるお金」について知る 

2年が経とうとしている今でも「高校で投資教育が始まった」「高校生に株のもうけ方を教えるのか!」という意見によく出会います。ただ、この投資教育と金融教育は近しいものではありますが、全く同じものではありません。教員向けの研修でお話しする機会も多いのですが、「株の買い方やチャートの読み方を教える必要はありません。自分のライフプランに合わせて適切な方法で資産形成をすることがきるように、金融商品のメリット・デメリットや特徴を伝える必要があるのです」とお伝えしています。

金融庁が公表している「高校生のための金融リテラシー講座」(https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/package.pdf)
という教材が、高校生だけでなく一般の人たちにも非常に分かりやすく、参考になるつくりになっているので取り上げていきます。

出所:金融庁

この教材の中では、「金融リテラシーとはお金に関する知識や判断力」と解説されています。さらに「金融リテラシーが高いと経済的に自立し、より良い暮らしを送ることができる」と説明されています。つまり、金融リテラシーとは「経済的に自立し、より良い暮らしを送るためのお金に関する知識や判断力」ということになります。みなさんは、この「お金に関する知識や判断力」が身についている、と自信を持って言えるでしょうか。

この金融リテラシー講座では、1から6の項目に分けて、家計管理やライフプラン、お金の使い方や金融トラブルなどを学ぶことになっています。見てわかる通り、必ずしも「資産形成・投資」に特化した内容ではありません。むしろ、まさに「人生にかかわるお金」全般に関する内容になります。