年金が会社員と一本化 公務員の年金はどうなる?
退職金に関連し、公務員の年金についても紹介したい。
公務員はかつて年金制度も民間企業と異なっていた。しかし現在は会社員と同様の制度となっている。
会社員と公務員の公的年金は2階建てだ。1階部分はいずれも国民年金だが、2階部分は会社員が厚生年金、公務員が共済年金と分けられていた。しかし2015年に年金制度の一元化が図られ、共済年金は厚生年金に統一された。
厚生年金に一本化されたことで職域部分の支給も廃止された。共済年金の職域部分とは、公的年金に上乗せする3階部分の年金だ。大企業などで導入される企業年金に相当する。職域部分の支給から、公務員の年金は一般企業より手厚い傾向にあった。
年金の一元化に伴い職域部分は廃止された。ただし公務員の年金が直ちに減少したわけではない。職域部分に相当する3階部分として「年金払い退職給付(退職等年金給付制度)」が新設されたためだ。厚生年金と別に収入から一定額が積み立てられ、退職後に年金または一時金として受け取れる(出所:地方公務員共済組合連合会 年金払い退職給付)。
また職域部分も支給が直ちに停止されたわけではない。2015年9月までに1年以上の共済年金の加入期間がある場合、その加入期間に応じ職域部分に相当する「経過的職域加算額」が支給される(出所:地方公務員共済組合連合会 経過的職域加算額)。
3階部分の支給があることを考えれば、公務員の年金は大企業並みに手厚いといえるだろう。
なお年金払い退職給付の積立率の上限は1.5%だ(労使合計)。18.3%の厚生年金と比べると積立率は低い。公的年金と比較し支給額は小さいため注意したい。
【年金払い退職給付のモデル年金(2018年財政再計算)】
・標準報酬月額:40.5万円
・加入期間:40年
・受取開始年齢:65歳
・給付算定基礎額:402万円
・支給月額:1万6007円
※積立総額の内訳:積立額384.4万円、利子17.6万円
※支給月額の内訳:終身年金部分7466円、有期年金(20年)部分8541円
文/若山卓也(わかやまFPサービス)