退職金は会社員だけのものではない。公務員も労働の対価として退職金が支給される。全体の奉仕者として長く社会に貢献した分、ひそかに退職金に期待する職員は多いだろう。
民間企業と同じく、公務員の退職金は収入が大きいほど、また勤続年数が長いほど大きくなる。また退職事由も退職金の水準に影響を与える。
公務員は退職金をどれくらい受け取れるのだろうか。計算方法と実際の支給額の平均を紹介する。また公務員の年金制度についても紹介したい。
公務員の退職金の計算方法
国家公務員の退職金は以下のように計算される。なお地方公務員は地方自治体が定めるものの、国家公務員に準じるとされている。
【国家公務員の退職金の計算式(特例を除く)】
基本額+調整額
※基本額:退職日の俸給月額×退職理由別・勤続期間別支給割合
※調整額:区分(第1号区分~第11号区分)に応じて定める額(調整月額)のうち、額が多いものから60月分の合計
基本額は退職日の収入(俸給月額)と退職理由別・勤続期間別支給割合の積だ。退職理由別・勤続期間別支給割合は、主に勤続年数と退職事由で決定される。
勤続年数は長いほど退職金を増額させる。退職事由は定年や応募認定による早期退職などで退職金が増える傾向にある。自己都合の退職は退職金が低い傾向だ。
【退職理由別・勤続期間別支給割合の早見表(一部抜粋)】
自己都合 | 定年・応募認定退職等 | |
勤続10年 | 5.022 | 8.37 |
勤続20年 | 19.6695 | 24.586875 |
勤続30年 | 34.7355 | 40.80375 |
勤続40年 | 44.7795 | 47.709 |
※2018年1月以降の退職(調整率を乗じたもの)
調整額は在職中の貢献度に応じた加算額だ。在職中の各月の調整月額のうち、多い順に60ヵ月分を合計した額が加算される。
ただし勤続9年以下の自己都合退職者には調整額の支給はない。また勤続4年以下の自己都合以外の退職者、勤続10年以上~24年以下の自己都合退職者は調整額が半額になる。
【国家公務員の退職金の計算例(勤続38年)】
・退職日の俸給月額:38万7400円
・退職理由別・勤続期間別支給割合:47.709
・調整額:182万0400円
・退職金:38万7400円×47.709+182万0400円=2030万2866円
※1円未満切り捨て