次に、個別ファンドではどのようなファンドに資金が流入しているのか、外国株式型と複合資産型のカテゴリーについて確認します。 

まず、外国株式型の月間資金流入額上位15ファンドについて確認します。ランキング表のとおり(図5)、上位15本中14本がパッシブファンドになりました。MSCIコクサイ指数に連動するパッシブファンドがほとんどとなっています。

図5 2023年12月 外国株式型(DC用ファンド) 拡大図表示

出所:三菱アセット・ブレインズ

他方、11位には「野村米国株式S&P500インデックスファンド(確定拠出年金向け)」がランクインしました。2023年8月に設定された新規ファンドです。米国の大型株式で構成されるS&P500は米国の経済成長を享受できるインデックスとして注目を集めています。

特に、DC以外の公募ファンド市場では、S&P500に連動するパッシブファンドがつみたてNISA対象ファンドとして人気です。たとえば、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、2023年12月末現在で純資産残高が約3兆円と最も残高が大きい投資信託となっています。公募ファンド市場で人気を集めるS&P500のパッシブファンドがDCファンド市場でも設定され資金を集めました。

15位には唯一のアクティブファンドである、ラッセル・インベストメントのラッセル・インベストメント外国株式F(DC向け)がランクインしました。

運用会社、マネジャーを複数選定し、それぞれが得意とする運用戦略でベンチマークを上回ることを目指します。グロースやバリューと言ったスタイルのファンドを複数組み合わせて運用するため、スタイル分散も十分に図られる点が特徴です。

次に、複合資産型の月間資金流入額上位15ファンドです(図6)。1位には「みらいバランス・株式10(富士通企業年金基金DC向け)」がランクインしました。特定の企業向けに提供されているファンドですが、著しい資金流入となっています。資産配分を固定しパッシブ運用を行うオーソドックスなバランス型ファンドです。

2023年12月 複合資産型(DC用ファンド) 拡大図表示

出所:三菱アセット・ブレインズ

5位にはアクティブファンドである、「野村DC運用戦略ファンド」がランクインしています。組入資産では同様に特定のインデックスに連動するパッシブ運用を行いますが、資産配分を市場環境に合わせて機動的に調整する点が特徴となっています。特に、相場環境が悪化した際は安定資産や現金の比率を高めることで、さらなる下落を抑制します。シニアなどの資産活用世代がポートフォリオのリスクを引き下げて、資産価値を保全したい場合に適したファンドと言えるでしょう。

資金流出入動向の説明については以上です。