1. 長期にわたり継続して投資する
最初のポイントは皆さまよくご存じの“長期投資”です。 ただしここでは2つの切り口から長期投資の意義と効果を考えます。
長期間にわたり投資する
1つ目の切り口は「長期間にわたり」投資することです。
すでにご説明しましたように、株式は“頼りになる”“お金のなる木”ですので、選ぶ銘柄を間違わなければ、時間と共に継続してお金を生んでくれるはずです。そこで “選ばず”投資を行うことで銘柄選びで間違うリスクを抑制し、お金を生んでもらう時間をより長く与えることで、成功確率を高めるわけです。また、各銘柄や市場全体の株価水準が割高になったり割安になったり変化する中で、投資期間が長期になれば、株価水準の影響が時期によって打ち消し合い、投資成果のバラツキも小さくなるはずです。いずれも株式の資産としての特性を活かした投資戦略ですので、今後も有効と考えられます。
それでは、世界株式市場の過去のデータから長期間にわたり投資する効果を見ていただきます。下のグラフでは、投資期間ごとのリターンの最大値と最小値ならびに平均値を年率換算で棒グラフにしています。投資期間が長くなると、平均値は大きくは変わりませんが、最大値と最小値のバラツキが大きく圧縮されています。その結果として折れ線グラフで表しているマイナス・リターンの確率も小さくなり、15年ではゼロになっています。長期間投資することにより株式投資の成功確率が高まっていることが見てとれます。
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継続して休まず投資する
長期投資のもう一つの切り口は継続投資です。
幅広く銘柄分散した株式投資では、長期間投資を行うとマイナス・リターンで終わる確率が低下し、成功確率が上昇することは見ていただきました。
それでは、長期間投資を行いながらも、何らかの理由で一時的に投資を休むとどうなるでしょうか。
世界株式指数のこれまでのデータを利用してその影響度を検証したいと思います。
以下のグラフは、2001年1月以降2023年の9月末までの期間で、休まず継続投資を行った場合と、1カ月だけ株式投資を休んだもののその月がたまたま株式市場が最も上昇した月であった場合、それが2カ月の場合、さらに3カ月の場合とで、どのように累積リターンの大きさが変化したのかを確認したものです。
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20年を超える投資を行いながらも、一時的に投資を中断し、その中断中に運悪く大きく市場指数が上昇してしまった場合には、非常に大きな機会損失を被る可能性があります。タイミングを計って投資を行いながらもその判断を誤ると、取り返すことが困難なマイナス効果を生むこともあるわけです。投資初心者の方に自信を持って投資していただくためには、タイミングを計ろうとはせず、継続して常時投資しておくことが賢明であると思われます。
資産運用に関する書籍やその他情報には「リスクを感じたら資産運用を休むのも一つの考え方」との意見が散見されます。確かに資産運用全般で考えるともっともな考え方であるとは思います。しかし“選ばない”株式投資では、投資を中断させることは、かえって投資成果に貢献するはずの投資期間を短縮させると同時に、不確定要素を増やす結果となると考えます。