短期金利が上昇する可能性は低い
その他、同レポートでは、「投機筋の円売りポジションが高水準のため、それが解消されれば円高になる」という見通しや、「米大統領選挙のアノマリーで、選挙前は円高が進みやすい」といった点も指摘しています。
ちなみに、農林中金総合研究所の「2024年の国内経済金融の展望」によると、「既に形骸化しているYCCについてはいずれ撤廃される可能性があるが、持続的・安定的に物価2%を達成できるとの判断には至らないと思われ、マイナス金利政策の解除は25年以降に持ち越されるだろう」とのこと。
マイナス金利か、ゼロ金利かの違いはあるものの、当面、短期金利が上昇する可能性は低いと見て良さそうです。
日本の株価は「堅調な推移」が期待される
米国の利下げ、米ドル安・円高、そして日本の金融緩和政策の見直しが揃うとしたら、気になる日本の株価はどうなるでしょうか。
日興アセットマネジメントの「フォローアップ・メモ」によると、「2024年ベースの予想PERが14倍強の日本株式は魅力的と考えられます。自社株買いが活発なことや、配当利回りが2.3%程度と、債券利回りと比べてかなり高いことも好材料です。弊社では、日本株式が魅力的なパフォーマンスを示すと予想しています」とポジティブな見通しを公表しています。
また第一生命経済研究所の「経済の舞台裏」によると、日本株については「株式市場との関係が深い電子部品・デバイスの出荷在庫バランスは好転」とし、堅調に推移する可能性が高いことを示唆。米国株式についても、「12月ISM製造業景況指数は47.4へと上昇。14カ月連続で節目の50を下回ったものの、底打ち感が見られている。(中略)ISM製造業が改善すると株価が上昇するというシンプルな関係を踏まえると、向こう数カ月の米国株は生産活動の改善に支えられ、底堅い推移が期待される」と、日米ともに株価が堅調に推移するという見通しを示しました。
見通しはあくまでも見通しですが、ようやく新NISAがスタートした資産形成元年であることを考えると、2024年の株式市場が堅調に推移することを願いたいところです。
参考
・HSBCアセットマネジメント「金利上昇が2024年の投資戦略に与える影響について」
・みずほリサーチ&テクノロジーズ「Mizuho RT EXPRESS 2024年のドル円、120円台への円高を予想」
・農林中金総合研究所「2024年の国内経済金融の展望」
・第一生命経済研究所「経済の舞台裏 日米共に生産活動は株価上昇を示唆 マイナス金利解除は4月に」
・日興アセットマネジメント「フォローアップ・メモ 2023年の株式市場の回顧と2024年の展望」