このコラムのネタ元は、さまざまな金融機関やリサーチ会社が発行しているレポートです。そして、昨年末から新年明けにかけて出されるレポートのタイトルを並べてみると、やはりというか、当然というか、「2024年はどうなる?」的なものがたくさんあります。株価や為替相場などマーケットの見通しに関するものはもちろんのこと、個人の資産運用に影響するものも含まれています。
そこで今回は、2024年の特に個人のお金に関係しそうなレポートをいくつか抜粋して紹介していきたいと思います。年末年始分ということで、昨年12月28日から1月5日までにリリースされている分から見てみましょう。
金利はどうなるのか?
まず、「金利上昇」に関するレポートが結構目立ちます。
一時期、1%近くまで上昇した日本の長期金利は、やや落ち着きを見せており、1月5日時点で0.6%前後の水準ですが、果たして今年はどうなるでしょうか。
HSBCアセットマネジメントが個人投資家向けに出している「金利上昇が2024年の投資戦略に与える影響について」によると、2024年のマーケット環境は先行きが不透明という見方を示しています。ちなみに同レポートは、日本のマーケットを中心にしたものではなく、米国を中心にしたグローバル投資戦略に関するものであることを付け加えておきます。
同レポートによると、「FRBによる利下げは2024年後半に実施される可能性が高く、その度合いは市場の予想よりも大きくなると思われ、新興国市場(株式または現地通貨建債券)は投資対象として重要な位置を占めるはずである」ということです。
FRBが政策金利であるFFレートの誘導目標を引き上げ始めたのが2022年3月のこと。以来、11回にわたって利上げが実施され、米国の株価は低迷し、同時に、米ドル高が進みました。
米国が利上げを行い、米国国債などの利回りが上昇すれば、わざわざリスクを冒して株式や新興国市場に投資しなくても、世界で最も安全と言われる米国国債に投資するだけで、5%近い利回りが得られます。こうして米国国債への資金シフトが進めば、株価は低迷し、同時に米ドルが買われることになります。2年近く続いた米国株価の低迷と米ドル高は、米国の金利上昇による必然だったのです。
その米国が2024年後半から利下げに転じたら、過去2年近く続いた動きが逆回転します。どの程度まで金融緩和が進むのかにもよりますが、米国が金融緩和に転じれば、新興国市場に資金がシフトする可能性が高まってきます。この動きは米ドル売りにつながります。