「日米金利差が縮小に向かう」という見通しも
みずほリサーチ&テクノロジーズが出している調査レポート「Mizuho RT EXPRESS」によると、2024年の米ドル/円の見通しは、1米ドル=120円台の円高を予想しています。
ファンダメンタルズ的には、日米金利差が縮小に向かうという見立てです。FRBが緩やかな利下げを行う一方、日銀が金融緩和政策を修正するというのが、その根拠です。
では、日銀は本当に金融緩和政策を修正できるのでしょうか。
この点について同レポートでは、「2024年の春闘における賃金上昇率が、2023年の実績を上回り、日銀はインフレ目標実現のモメンタムがあると判断するだろう。4~6月期にマイナス金利・イールドカーブ・コントロール・マネタリーベース拡大方針のトリプル解除を実施すると予想する。しかし、その後は輸入物価の減速等を背景に賃金・物価の上昇モメンタムが鈍化することで、日銀は追加利上げを実施せず、ゼロ金利政策を継続するとみている。円金利上昇余地は限られよう」と指摘しています。
2024年の春闘で賃金上昇が確実なものになれば、これからも賃金上昇が続き、緩やかな物価上昇につながる可能性があります。そうすれば、これまでゼロ金利状態を作り上げてきた「マイナス金利政策」、「イールドカーブ・コントロール(YCC)」、「マネタリーベース拡大方針」という3つの金融緩和政策が見直され、金利上昇につながる、ということです。
とはいえ、こうした金融政策の正常化によって米ドル高が是正されれば、輸入物価の上昇が一服し、国内の物価上昇ペースが落ち着きます。
加えて、国内の物価上昇ペースが落ち着けば、「物価上昇によって生活が苦しいから賃金を上げてくれ」という理屈が通りにくくなります。結果、物価水準がこの先、どんどん上がっていく可能性が薄れるため、マイナス金利は解除されたとしても、ゼロ金利政策が持続し、円金利の上昇余地が限られると指摘しています。