ガビロン離脱の影響は?丸紅のビジネスを確認

ガビロンの売却もあり、丸紅の純利益は2022年度に過去最高を更新しました。ただし翌期は収益の逸失や資源価格の下落などから減益を予想しています。

【丸紅の業績】

  売上高 純利益
 2021年度 8兆5086億円 4243億円
 2022年度  9兆1905億円  5430億円
 2023年度(予想)  非開示 4500億円

※2023年度(予想)は同第2四半期時点における同社の予想

出所:丸紅 決算短信

ガビロン売却の影響を探るため、丸紅の事業を俯瞰(ふかん)してみましょう。

丸紅の多様なビジネスはおおむね4つの事業グループに分かれます。すなわち生活産業、素材産業、エナジー・インフラソリューション、社会産業・金融です。

【事業グループ別の純利益(2022年度)】

出所:丸紅 決算短信より著者作成

ガビロンの離脱で影響を強く受けるのが生活産業グループです。同グループは食料第二セグメントが最大の利益を稼いでいますが、ガビロン離脱で当面はアグリ事業セグメントが主力になると考えられます。

【生活産業グループのセグメント純利益(2022年度)】

  主な製品、サービス 純利益
 ライフスタイル  衣料品、フットウェア 45億円
 情報・物流  通信サービス、携帯電話販売代理店  95億円
 食料第一(国内)   食品、食品原料  116億円
 食料第二(海外)  畜産物、穀物 769億円
 アグリ事業  肥料、施肥・農薬散布 427億円

出所:丸紅 決算短信

利益が最も大きいのは素材産業グループです。2022年度は2000億円以上の純利益を稼ぎました。そのほとんどは金属セグメントが担っています。

【素材産業グループのセグメント純利益(2022年度)】

  主な製品 純利益
 フォレストプロダクツ   紙製品、木材 -94億円
 化学品  石油製品、合成樹脂 143億円
 金属  鉄鉱石、銅、アルミニウム   1994億円

出所:丸紅 決算短信

ガビロンの売却により、素材産業グループの重要度は増したといえるでしょう。特に金属資源の市況には比較的強い影響を受けそうです。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)