丸紅はかつて収益の大半を食料ビジネスで得ていました。米ガビロンの買収後は穀物貿易で世界トップクラスのシェアを握り、連結営業利益の半分を稼ぐようになります。。
しかし近年は状況が変わってきました。他部門が成長したほか、丸紅はガビロンを肥料事業を残して売却しています。連結営業利益に占める食料ビジネスの割合は大きく低下しました。
【食料セグメントの営業利益構成比(対連結)の推移】
ガビロンは丸紅にとって過去最大の買収でした。丸紅はせっかく取得したガビロンをなぜ放出したのでしょうか。経緯を振り返りましょう。
米穀物大手を2700億円で買収 取扱量は世界トップクラスに
丸紅がガビロンの取得を発表したのは2012年のことです。丸紅には穀物のグローバルプレイヤーとしての地位を確立する狙いがありました。
丸紅の穀物ビジネスは、当初は日本への単純輸入にとどまっていました。2003年以降は方針を転換し、北米や南米で調達した穀物をアジアなどへ輸出する三国間取引へ発展させます。調達地と需要地の双方で提携や出資を積極化させた結果、丸紅の穀物取扱量は2011年度で2200万トンに達しました(2004年度は約500万トン)。
ガビロンの買収は調達サイドの強化が狙いでした。当時のガビロンは米3位の穀物集荷能力を持っていました。丸紅は2013年にガビロンを26億ドル(2700億円)で取得します。
ガビロンの買収で丸紅の穀物取扱量は5500万トンに到達しました。これは世界トップクラスの穀物メジャーに匹敵する水準でした。食料セグメントは大きく増進し、同社の最大の収益源となります。
【食料セグメントの業績(2012年度~2014年度)】