日本で半導体株といえば東京エレクトロンやディスコといった製造装置メーカーが連想されます。ロジック(CPUなど)やメモリなどの半導体製品は、インテルやサムスンといった海外企業が高いシェアを持ちます。

かつては日本にも世界的な半導体企業が上場していました。エルピーダメモリはDRAMで世界3位のシェアを握ったものの、経営破綻しアメリカのマイクロン・テクノロジーに買収されました。

エルピーダメモリはなぜ破綻したのでしょうか。経緯を振り返りましょう。またマイクロン・テクノロジーが日本に投資を繰り返す理由も紹介します。

NEC・日立・三菱電から生まれた日本唯一のDRAMメーカー

エルピーダメモリは1999年、NECと日立製作所が共同出資して誕生しました(当時はNEC日立メモリ)。2003年には三菱電機のDRAM事業も合流し、日本で唯一、世界3位のDRAMメーカーとなります。

当時は業績も好調でした。パソコンや携帯電話向けに売り上げが伸び、2004年度に黒字転換します。また東京証券取引所への上場も果たしました。2007年3月期には売上高4900億円、営業利益684億円を計上しています。

しかしその後は暗転します。競合との競争が激化し、DRAM価格が大きく下落しました。DRAMに特化していたエルピーダメモリのダメージは大きく、2008年3月期に249億円の営業損失に転落しました。赤字額はリーマンショックを含む2009年3月期に拡大し、営業損失は1474億円、最終損失は1789億円に上りました。

経営危機に陥ったエルピーダメモリは公的支援が決定し、日本政策投資銀行から300億円の出資と100億円の融資を受けました。さらに銀行団の協調融資や台湾企業からの出資も受け、エルピーダメモリは再起を図ります。