計1兆8200億円 マイクロンが日本へ資金を投じる理由
エルピーダメモリの買収以来、マイクロン・テクノロジーは日本への投資を繰り返しています。旧・エルピーダメモリの広島工場を先端DRAMの生産拠点と位置づけ、2015年から1000億円を投じ最新設備を導入したほか、2017年には次世代DRAMの量産のため2200億円を投じると決定しました。
マイクロン・テクノロジーによると、同社が2013年から2022年に日本へ投資した額は130億ドル(1ドル=140円で1兆8200億円)に上ります。また2022年までの5年間では最大の海外投資家だったと発表しています。
マイクロン・テクノロジーが日本へ積極投資する理由の一つは政府の支援です。半導体市場における日本のシェア低迷を受け、政府は国策として半導体を後押しする姿勢を強めています。
マイクロン・テクノロジーは2023年5月、日本政府の支援を前提に広島工場に最大5000億円を投じると発表しました。日本はこれに答え、同工場へ最大1920億円の支援を決定しています。
充実したサプライチェーンも理由の一つでしょう。半導体の製造は多数や素材や機械がかかわります。特に先端半導体の製造となると求められる品質も非常に高くなります。
これらは日本に強みがある分野です。シリコンウェハやレジスト(感光材)といった素材のほか、製造に用いる露光装置や洗浄装置などの大手メーカーが多数存在します。半導体の製造に欠かせない企業が充実する日本は生産拠点を構えやすく、マイクロン・テクノロジーの投資を促していると考えられます。
【マイクロン・テクノロジーの業績】
売上高 | 純利益 | |
2021年9月期 | 277.05億ドル | 58.61億ドル |
2022年9月期 | 307.58億ドル | 86.87億ドル |
2023年9月期 | 155.40億ドル | -58.33億ドル |
出所:マイクロン・テクノロジー
【マイクロン・テクノロジーの株価(月足、2020年10月~2023年10月)】
文/若山卓也(わかやまFPサービス)