投資の失敗は個人にとどまりません。大企業でも投資に失敗し大きな損失を計上することがあります。

日本郵政による豪トール・ホールディングスの買収はその最たるものでしょう。6200億円で買収し多額の損失を計上することになりました。

日本郵政のトール買収を振り返りましょう。

6200億円で豪物流大手を買収

日本郵政は2015年2月、オーストラリアのトール全株式を6200億円で取得しました。トールを選んだ理由はグローバル展開を強化するためです。

当時の日本郵政は上場を控えていました(上場:2015年11月)。上場すれば投資家から継続的な成長と利益を求められます。しかし国内の郵便事業は停滞しており、明確な成長ストーリーは描きにくい状況にありました。

そこで日本郵政は新事業として国際物流への本格的な進出を決めます。同時に自社にノウハウが乏しかった3PL(※)領域の強化も視野に入れ買収先を選定したところ、同領域で強みのあったトールに白羽の矢が当たりました。

※3PL(サード・パーティー・ロジスティクス):物流にかかる一連の業務を荷主に代わって第三者の事業者が包括的に請け負うサービス。配送だけでなく検品や入庫、また保管や出荷などを一元的に担う。

トールはオーストラリアの総合物流企業で、グローバルで3PL事業に豊富な経験がありました。特にアジア・太平洋地域で強みがあり、同地域の物流の高まりを見込んだこともトールを選んだ理由の一つです。買収手続きは2015年5月に完了し、完全子会社として日本郵政グループへ迎えます。

日本郵政は直後に買収額が高すぎたことを痛感します。