「オールカントリー」も実は6割が米国という事実

私がS&P500を選ぶ理由は、実はもう1つあります。それは、「全世界株式型の投資信託」と言っても、結局は米国が中身の大半を占めるケースが多いことです。

先ほど紹介した通り、全世界株式型の投資信託には「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という人気商品があります。こちらの商品、実は中身の約60%が米国企業となっています。そのほか、日本が5.5%、イギリスが3.8%、中国が3.6%、フランスが3.2%と、投資先のうち米国のウェイトが相当大きくなっていることが分かります。加えて、全体で見ても先進国が89.1%、新興国が10.9%の割合(2023年3月末時点)。

つまり、実態としては「ほぼ先進国に投資しており、中身の6割が米国である投資信託」と言えます。ですから、全世界株式型の投資信託を買っておけば、全世界に分散されるから大丈夫! 米国一辺倒の投資になっていないから安心! と思っている方は、注意が必要です。

より世界に均等に分散したい、米国以外の国に投資したいと考えるのであれば、「ヨーロッパ型の株式投資信託」「新興国型の株式投資信託」なども組み合わせ、自分なりのバランスでポートフォリオを作ることが重要となります。

とはいえ、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が非常に魅力的な優良商品であることに変わりはありません。商品名から受けるイメージの割に米国へのウェイトが6割と高いというだけで、それでも残り4割は40ヵ国以上の株式に分散投資されているのです。

過信は禁物ながらも、「S&P500型の投資信託よりも分散が効いている」ことは確かであり、信託報酬(手数料)も非常に安い。商品性とリスクを正しく理解すれば、投資先としては非常に魅力的と言えます。