値上がりしたマンションの購入者
では、誰がここまで値上がりした分譲マンションを、新築で購入しているのでしょうか。
同じく三菱UFJ信託銀行が、12月1日に公表した「不動産マーケットリサーチレポート」では、都心の同時期に分譲された新築マンション3棟の購入者像をサンプル調査しています。
・マンションA=城東エリア。平均分譲価格約8000万円
・マンションB=城南エリア。平均分譲価格約1億3000万円
・マンションC=城西エリア。平均分譲価格約2億7000万円
以上がサンプルです。ちなみに城南や城西の意味ですが、これは皇居(城)を中心にして、東京23区のうち、皇居がある千代田区を除いた22区を、4つのエリアに分けたものです。区で示すと、
・城南エリア=目黒区、品川区、大田区、港区の4区
・城北エリア=荒川区、文京区、豊島区、板橋区、足立区、北区の6区
・城東エリア=中央区、墨田区、台東区、葛飾区、江戸川区、江東区の6区
・城西エリア=新宿区、世田谷区、中野区、渋谷区、杉並区、練馬区の6区
となります。
平均分譲価格を見るとイメージが湧くと思いますが、マンションAは自己居住目的で購入されています。購入者の平均年齢は38歳で、世帯構成は夫婦+子。マンション購入にあたっては、住宅ローン利用ありが58%で、そのうち22%がペアローンという結果が出ました。
次にマンションBですが、これは自己居住目的が44%であるのに対し、自己居住目的以外が56%を占めています。しかも、自己居住目的以外のなかで、住宅ローン利用ありが20%に対し、住宅ローンの利用なしが37%を占めています。つまりキャッシュで高額のマンションを購入できる富裕層が、自己居住目的よりも、いわゆるセカンドハウスや賃貸ならびに投資目的で購入していることを読み取れます。
そしてマンションCですが、これは自己居住目的が58%で、自己居住目的以外が42%です。前者の住宅ローン利用なしが32%、後者のそれが37%というように、両者を併せると住宅ローンを組まずに購入している層の比率が69%にも達しています。そうである以上、もちろん富裕層が中心ですし、年齢も平均46歳と、マンションAに比べて上になります。
なお、家族構成ですが、前述したようにマンションAは「夫婦+子」が39%、「単独」が31%です。マンションBは「単独」が59%、「夫婦+子」は18%であり、マンションCが「単独」が58%、「夫婦+子」が17%というように、高額物件の所有者ほど単独世帯が多い点は、いささか興味深いところです。