次は工作機械 相次ぐM&Aの狙いとは

ニデックは近年、工作機械へのM&Aを増やしています。2021年に三菱重工工作機械を買収し工作機械事業に参入すると、翌年には老舗OKKを買収しました。さらに2023年にはイタリアのパーマ社を取得しています。

話題となったのはTAKISAWAの買収です。ニデックはTOBで取得しますが、事前にTAKISAWA側の同意を得ていなかったことで注目されました。TAKISAWAは後日TOBの受け入れを表明し、ニデックの傘下となります。

【ニデックの主な工作機械M&A】
2021年8月:三菱重工工作機械(現・ニデックマシンツール)
2022年2月:OKK(現・ニデックオーケーケー)
2023年2月:パーマ(伊)
2023年11月:TAKISAWA

出所:ニデック M&Aの歴史

積極的なM&Aの背景には高い成長目標があります。

ニデックは2025年度までに売上高4兆円、2030年度までに10兆円を売り上げる長期目標を掲げています。2022年度の実績(2兆2428億円)から考えると毎年20%以上の増収が必要となる計算です。この達成を目指す方法として、既存事業の自律成長に加えM&Aを挙げました。

工作機械に狙いを付けた理由はシナジー効果を見込んだためだとみられます。顧客に提案できる製品ラインが強化できるほか、他部門の製品の内製化によるコストダウンも期待できます。

工作機械そのものの成長期待も取得する理由でしょう。ニデックは2023年4月に機械事業本部を新設していますが、その理由として「世界最強・最高収益を確保」すると公言しました(出所:ニデック 機構改革に関するお知らせ)。他部門を補完するだけでなく、主力事業の一つとして工作機械を取得している様子がうかがえます。

ニデックは機械事業(工作機械、減速機、プレス機)で2025年度までに売上高5000億円、2030年度までに売上高1兆円を目指しています。株価の値下がりが続くニデックですが、成長が実現すれば株式市場の評価も変わるかもしれません。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)