今注目の書籍の一部を公開して読みどころを紹介するシリーズ。今回は、安心な「取り崩し」の技術について紹介した野尻哲史著『60代からの資産「使い切り」法 今ある資産の寿命を伸ばす賢い「取り崩し」の技術』の一部を特別に公開します(全3回/本記事は第3回)。同書を解説する無料セミナー情報も!
●第2回:退職金で危険な運用に手を出す人が後を絶たない…その根本的な理由とは
※本記事は野尻哲史著『60代からの資産「使い切り」法 今ある資産の寿命を伸ばす賢い「取り崩し」の技術』(日本経済新聞出版)から一部を抜粋・再編集したものです。
定額引き出しに潜む「収益率配列のリスク」
早速、取り崩しを前提にした資産運用のアイデアをまとめていくことにしますが、その前に資産を「引き出す」という行為が持っているリスクと可能性を先にまとめておきたいと思います。
「公的年金以外に毎月10万円を引き出す」といった考え方はわかりやすいものです。これは一般的には「定額引き出し」といわれるもので、2つの特徴を持っています。
1つ目は資産を預金においている時代には使いやすいものであること。ただし、これから説明する通り、資産が有価証券にある場合には思わぬリスクが潜んでいることが課題です。
2つ目は長生きリスクを感じると、できるだけ使わないでおこうという思いが強くなります。これは消費を抑制する力となり、これからの日本社会に必要な高齢者のチカラを削いでしまう可能性が高いことです。