それぞれの正解は……

さて、これらの設問を見て、みなさんは正答が分かりましたか。

まず(1)ですが、複利は「累乗計算」が出来れば簡単に算出できます。計算式は次のようになります。

100万円×(1+0.02)⁵=110万4080円

つまり「110万円よりも多い」が、正答になります。

ちなみに0.02は2%という、この預金の利率を示し、5乗は1年複利計算する場合、運用期間が5年だと複利回数が5回になるため、5乗を適用して計算します。なお、半年複利で運用期間が5年の場合は、複利回数が10回になり、かつ半年の期間利回りが、年利率である2%の半分になるため、

100万円×(1+0.01)¹⁰=110万4622円

となります。ここで気付かれたかと思いますが、同じ年利率2%でも、1年複利よりも半年複利、半年複利よりも3カ月複利というように、1年間の複利回数が増えれば増えるほど、最終的に得られる元利合計金額は大きくなります。

次に(2)です。インフレとは物価が上昇することを意味します。

そもそも私たちはなぜ、お金を運用するのでしょうか。「将来、何か大きな買い物をするため」、「老後の生活費を貯めるため」など、理由はさまざまだと思いますが、お金を運用する最も根源的な理由は、「インフレによって現金価値を目減りさせないこと」にあります。

仮に設問通り、インフレ率が年2%で、この間に受け取る利息が年1%だとしたら、現金価値は1年間で1%目減りしたことになります。つまり「今日より少ないものしか買えない」ことになるのです。

ちなみに現状についてはどうなのか、という点ですが、2023年8月の消費者物価指数は、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」で見ると、前年同月比で4.3%の上昇です。

これに対して、昨年8月に適用された1年物定期預金の利率は年0.002%ですから、すべての資産を定期預金で運用したとすると、この1年で資産価値は▲4.298%も目減りしたことになります。昨今、株式や投資信託などを利用した資産運用の重要性が言われているのは、今の預貯金利率では、インフレに負けてしまうからです。

そして(3)の分散投資ですが、1社の株式に投資すると、その会社の業績が悪化すると、株価が下がって資産価値が目減りします。この点、20銘柄、30銘柄に分散投資する投資信託は、1社の株式のみに投資するのに比べ、高い分散投資効果が得られます。仮に30銘柄に分散投資して、10銘柄の株価が下げたとしても、残りの銘柄の株価が値上がりすれば、株価下落リスクを大幅に緩和できるのです。