この連載では、これまで制度を使うメリットや投資における考え方などについてお伝えしてきました。今回は、新NISAにまつわるよくある“4つのギモン”に回答します。制度が開始するまであと数カ月。ぜひ参考にしてみてください。

Q1.60代から新NISAを始めるのは遅すぎる?

60代であれば退職金の運用も視野に入り、「急に現金が入ったけれど、どうすればいいかわからない……」と悩む方も多いかもしれません。しかし、これまで投資をしてこなかった方、そして現金の運用先がわからない方こそ、新NISAを活用してほしいのです。

と言っても、60代であればハイリスク・ハイリターン投資はオススメしません。例えば現在30代であれば、定年まで働くと仮定すると、あと30年ほどキャッシュフロー(お金の出入り)がプラスになります。そのため資産が下落しても、収入から補てんすることが可能です。

一方で60代であれば、現役時代と比べて収入は年金のみ、という方も多くなります。そんな中で、大暴落が起こると……大幅に下落したリスク資産を回復させることは、非常に難しい。だから、年代が上がるにつれて「ローリスク・ローリターン」の投資に切り替えていくのがオススメです。

では具体的に、60代以上でリタイアしており(もしくはリタイアが近く)、今後年金以外の収入が見込みにくい方はどのような投資をすれば良いか。有力な選択肢の1つは、バランス型の投資信託を選ぶことです。バランス型投資信託は、株式だけでなく、債券や不動産にも分散した商品。日本だけでなく海外にも分散が効いていればなお理想的です。

このような商品を買っても、大きく収益を得ることはできません。一方で、どんな局面でも比較的価値が下がりにくい、という特徴があります。そもそもバランス型の投資信託は、資産を増やすためではなく、資産を守るためのものなのです。

60代であれば、なるべくリスクを取らずに安全な資産に投資する。安全資産から得られる「収益率」はわずかですが……退職金など元手が大きい場合、「収益額」は決して無視できません。

安全資産への投資でお金を守りつつ、得られた収益は新NISA制度で収益は非課税に。「1人あたり1800万円の非課税枠」は年齢にかかわらず平等なので、ぜひ有効に使っていきましょう。