新NISAが原因? 現行NISAの口座開設件数が落ち込んでいるワケ

では、なぜ2022年末の前年比で、NISAの口座数の増加率が落ち込んだのでしょうか。

一般NISAとつみたてNISAを合わせた2022年末の口座数は1800万7257口座で、前年比15.38%増です。2021年末の前年比増加率が20.76%であることから見ると、いささかペースダウンの感が否めません。ちなみにつみたてNISAの口座数の増減率を見ると、2021年末の前年比が70.95%増だったのに対し、2022年末の前年比は39.99%増まで落ち込みました。

これはまだ途中経過に過ぎないので何とも言えませんが、2023年6月末時点におけるつみたてNISAの口座数は、2022年末に比べて110万4671口座の増加でしたが、このペースで2023年中に口座が増える前提で、110万4671口座を単純に2倍すると、2023年中には220万9342口座増えるという仮の数字を求めることができます。それが2022年末比で何%の増加率になるのかを計算すると、30.45%増になります。つまり2022年末に比べてさらに増加率は落ち込むのです。

原因は、恐らく新NISAにあるのでしょう。現行NISAに比べて、新NISAの方がはるかに利便性は高くなります。非課税期間は無期限だし、制度も恒久化されています。非課税保有限度額も、最大1800万円まで引き上げられました。

こうした新NISAの魅力が世に知られるようになったのが2022年末のことです。確かに、2023年中を通じて一般NISAやつみたてNISAで投資した分は、一般NISAが2027年まで、つみたてNISAが2042年まで運用した分の発生した利益を非課税にできますが、なかにはより利便性の高い新NISAがスタートするのを待ってから、新NISAの口座を開設して投資しようという人も、結構多いのかもしれません。

こうした買い控えにも似た状況によって、現行NISAの口座開設件数が落ち込んでいる可能性は、ゼロとは言えなさそうです。