口座数の増加率は2022年末から低調
ただ、少し気になる点もあります。過去6年程度の推移なので断言することはできないのですが、一般NISAにしてもつみたてNISAにしても、口座数の増加率がやや低調になっていることです。
一般NISAの口座数増減率は、2019年末の対前年末比が8.56%増でしたが、徐々に低下しており、2022年末の対前年末比は3.16%増にとどまりました。ちなみに2020年末のそれは0.17%増という非常に低い数字にとどまりましたが、これは恐らくパンデミックの影響かもしれません。
真偽のほどは分かりませんが、緊急事態宣言が発せられたなか、経済の先行き不透明感から将来に向けての投資よりも、目先の現金確保に動いた人が多かったと見られ、それが新規口座開設数の減少につながった面があることは否定できないでしょう。
実際、一般NISAとつみたてNISAを合わせた口座数の伸び率も、2019年末の16.11%増に対して、2020年末は9.84%増に止まり、2021年末には再び20.76%増まで回復しました。
一方、2020年の年間を通じた新規口座開設数は落ち込んだものの、買付金額自体はそれほど落ち込みませんでした。
同じく年末時点の推移を見ると、2019年末が15.62%増、2020年末が17.56%増、2021年末が26.66%増、となっています。2020年末の口座開設数がかなり低調だったのに、なぜか買付金額は前年末を上回っています。
これは、株価上昇による影響と考えられます。2020年中の日経平均株価は、1月17日の高値2万4115円から、コロナショックによって3月19日には安値1万6358円まで急落しましたが、そこから株価は急反発し、2020年12月30日には終値2万7444円まで上昇しました。この株価上昇分による評価益が加わり、2020年中の買付金額は、前年に比べて大きく落ち込まずに済んだものと思われます。