背後にいた人物とは……
この手の金融犯罪にはありがちですが、エンジェル・ファンド・ネットワーク社の場合も、背後に黒い影がちらついていました。
エンジェル・ファンド・ネットワーク社は、2000年4月に福岡県警が福岡支店に強制捜査に入り、そのいかがわしさが白日の下にさらされることになりましたが、このエンジェル・ファンド・ネットワーク社の裏側には、Oという人物がいました。
Oは、80年代バブルの初頭に、世間を大いににぎわせた投資ジャーナルにいた人物で、投資ジャーナル社が詐欺事件で破綻した後、日本ファイナンス育成機構という会社を設立。実はこの会社こそが、エンジェル・ファンド・ネットワーク社の前身だったのです。
しかも、Oがエンジェル・ファンド・ネットワーク社を立ち上げる際に協力したKという人物は、パチンコの景品買取会社を経営していて、その背後には関西暴力団の存在がちらついていました。
こうした経緯、人脈を見ると、エンジェル・ファンド・ネットワーク社には何らかの形で闇勢力が絡んでいたと思われ、「エンジェル・ファンド・ネットワーク」という企業を通じて、闇勢力のフロント企業などに多額の個人資金が流されたであろうことは、想像に難くありません。
また、融資先には経営実態のないペーパーカンパニーも数多く含まれており、そのなかには、投資ジャーナルの元会長だった中江滋樹(故人)の株式投資資金を集めるための会社も含まれていたそうです。
なお、この事件の首謀者とされるOは、2000年4月に福岡県福岡市にて逮捕。2001年9月25日、同事件主犯格の大隈が逮捕。詐欺罪によって懲役7年の刑に処せられました。
また、被害者の債権について、破産管財人による回収が進められたものの、到底、全額回収はかないませんでした。2000年4月に福岡県警が捜査に踏み切った時点で、すでに52億円程度の資金が焦げ付いていたとも言われています。
結局、O以下、主犯格が自分たちの遊行費として使い込んだだけでなく、個人加入者をだますために数多く設立されたペーパーカンパニーにも資金が流れ、そのうちのかなりの部分が、闇勢力へと渡ったと考えられます。
いったん、地下に潜った資金が、再び加入者の手元へと返ってくることは、まずありません。だから、だまされないようにしなければならないのです。