「老後2000万円問題」やNISA制度の拡充等をきっかけに、老後資金準備への関心は国内で高まっています。しかし、まさに今はデフレからインフレへの過渡期。資金を蓄えていても、実質的に目減りしてしまう可能性もあるのです。

話題の書籍『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか?』では、現金を貯めても実質的に目減りする“インフレの怖さ”や、老後資金の不安を解消する方法について、齋藤岳志氏が会話形式で優しく解説。今回は本書の第1章「老後が心配なので、貯金をしていますがいろいろ不安です」の一部を特別に公開します。(全3回)

●第2回:「バブルの悪夢があるので、投資は怖い」という50代におすすめの“手堅い”資産形成

※本稿は、齋藤岳志著『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか?』(現代書林)の一部を再編集したものです。

今さらですけど、NISAって何?

CFP:鴨下さまにお勧めする資産形成の1つ目は「NISA」です。

2024年から新しい制度が始まり、今までよりさらに拡充されて使い勝手が良くなるということで、非常に注目されています。

芳江:今さらなんですけど、そもそもNISAって何ですか?

CFP:はい、NISAとは株式や投資信託の売却益や配当金が非課税になる制度です。

芳江:売却益? 配当?

CFP:売却益は買った株が上がって、それを売ったときに出た利益、配当は企業が稼いだ利益を株主に配ることです。要は投資で出る「利益」のことです。

たとえばNISAで年間100万円投資して、5万円の利益が出たとします。その利益に対して、通常は20%程度の税金がかかるのですが、NISA枠で運用して、そこで出た利益は非課税になるんです。

光男:なんでNISAという制度があるのですか?

CFP:国民の資産形成を政府が後押しするという目的があります。やっぱり先の老後2000万円問題もあり、それを解決しないといけないということです。

「多くの人が年金だけでは足りないので、自分で投資を活用して準備して欲しい」という政府からの要望と考えてください。それが2024年からはさらに拡充するわけです。

光男:なるほど……。国としては本来、できるだけ税金を取りたいわけじゃないですか。それをあえて拡充するということは……。

CFP:はい、国もかなり本気で乗り出しています。貯蓄から投資へとお金を流す受け皿(箱)を拡充することで、「投資は長い目で見ればメリットがありますよ」という、国からのメッセージと受け止めることもできます。

せっかく用意してくれた箱なので、無理のない範囲で使うのがいいと思います。