オイルショック後の特例国債発行

その後、しばらく特例国債は発行されませんでした。しかし、1975年度に石油ショック後の影響により巨額の税収不足が予測されるようになります。建設国債の発行により賄われる公債発行対象経費 ※1を上回る部分を補うために、改めて特例としての国債を発行せざるをえなくなったのです。

※1 国債の発行で得られる資金によって使われる決められた額の経費。

戦後初の国債を「特例で」出したことで、これを使えばよいとの発想だったのかもしれません。このため「昭和50年度の公債の発行の特例に関する法律」が国会に提出され、成立しました。この法律が単年度立法として提出されたことで、それ以降も類似の法律(略称は「特例公債法」)が毎年度制定され、特例国債が発行されます。

1990年度から1993年度の間、好景気による税増収や財政再建の努力の結果として、特例国債が一時的に発行されない期間がありました。しかし、すぐにまた発行が再開され、1994年度から現在に至るまで特例国債は毎年発行され続けています。

このように特例国債は、建設国債の発行をしても歳入が不足すると見込まれる場合に、一般会計の財源不足を補うために発行されます。おもに社会保障、防衛費や人件費などの経常的経費を調達するために充てられています。

しかし、人件費などの経常的経費は、将来世代に資産を残すことはありません。国債残高のみ増加し、そのための利払いと償還のための税負担というかたちでの費用負担だけを残すことになるため、財政法ではこのための国債発行は認めていません。それにもかかわらず、一時期を除いて毎年度特例法が制定されています。もはや特例という言葉自体も意味をなさないものになっているのです。

2021年1月には「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」の一部を改正する法律案が提出されました。

建設国債のほか、「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」により、2021年度から2025年度までの間の各年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、当該各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行することができることとなりました。つまり毎年度、特例公債法を定めなくとも特例国債が発行できるようになったのです。

特例国債は、建設国債と同様に国会の議決を経た金額の範囲内で発行できます。その発行限度額は、一般会計予算総則に規定されています。