世界株式への投資する方法
世界株式への投資といっても、1つではありません。図表3にある通り、主に3つの投資方法があります。
それぞれの特徴は、表の通りですが、ここではアクティブ・ファンド投資(=アクティブ運用)の重要性についてお伝えします。対比される投資方法として、インデックス・ファンド投資があります。インデックス・ファンドへの投資は、S&P500指数やMSCIワールド・インデクスなどの株式指数に連動するファンドを購入するものです。
一方、アクティブ・ファンドへの投資は、ポートフォリオ・マネジャーと呼ばれる投資の専門家が銘柄を選択して構成したファンドを購入するものです。インデックス運用と異なり、ポートフォリオ・マネジャーが個別銘柄の投資魅力度を評価し、リスク面を考慮しながら配分比率を決めていきます。個々の銘柄の調査を徹底的に行った上で投資を決定することから運用報酬などのコストがインデックス運用と比べて高くなりますが、メリットとして、インデックスよりも高いリターンを狙ったり、下落時の損失を抑えたりすることが期待できます。
インデックス運用の人気は続く?
低金利環境が株式市場全体の追い風となり、ほぼ一貫して上昇相場が続いた2011〜2021年までの約10年間は、多くのアクティブ・ファンドのパフォーマンスがインデックス・ファンドに劣後する結果となりました。投資の拡大を後押しする政策が各国で取り入れられた時期と重なることもあって、インデックス・ファンドが圧倒的に人気でした。しかし、この先の世界の未来、投資の未来を考える上では、この間に生じたインデックスの構成変化にも注目しておく必要があるでしょう。
インデックス運用の特徴は、指数を構成するすべての銘柄を指数の構成比率に応じて購入するという点です。仮に個々の銘柄株価水準(バリュエーション)が割高になっても、その結果時価総額が増えてインデックス内の構成比率が高まれば、機械的に配分を増やすことになります。過去10年間においては「GAFA」もしくは「GAFAM」と呼ばれる米国の大型テクノロジー企業に投資資金が集中し、情報技術セクターのバリューション上昇が指数全体のバリュエーション上昇を牽引しました。
過去年間のGAFAMブームの影響は、米国株式だけでなく、世界株式の指数の構成にも影響を及ぼしています。
図表‐4は、MSCIワールド・インデックスの過去の上位銘柄の構成比率を示したものです。上位銘柄が指数全体に占める割合は2012年の約10%から、最大で2021年の約19%と膨らみ、時価総額の大きい銘柄が指数のおおよそ5分の1を占めるまでに上昇しました。業種別の構成比率も、10年前は約12%であった情報技術セクターが2021年には約24%となり、約2倍です。さらに、投資対象国・地域も米国株式の比率が上昇しています。世界株式指数における米国株式の比率は約52%(2012年末時点)であったのが、10年後には約66%(2022年末時点)となりました。このような構成比率の変化はインデックス運用に直接的な影響を与えます。多くの銘柄を組み込むはずのインデックス運用でも、業種別では情報技術に、国別では米国に大きな偏りが発生しています。