値上げは一体いつまで続くのか?

では、これから先はどうなるのでしょうか。

幸いなことに、企業物価指数の上昇には歯止めがかかりました。昨年12月時点では10.6%の上昇でしたが、2023年7月のそれは3.6%の上昇に抑えられています。

そこから考えると、消費者物価指数の上昇もようやく一段落して、これから先は徐々に低下へと向かうのではないか、と期待したいところですが、私たちの生活に必要なモノの値段が下がるのは、まだしばらく先でしょう。

企業物価指数も、確かに以前のような2ケタの上昇率ではないものの、まだ上昇が続いていることに変わりはありません。

なかなかモノの値段が下がらない理由

第一生命経済研究所の定例経済指標レポートでも、企業物価指数を取り上げていますが、国内企業物価指数については「当面は高止まりに注意が必要」とされています。

高止まりの理由は、電気代に対する補助金が9月に半減された後、終了する予定であること、国のガソリンに対する補助金が9月末まで段階的に縮小されること、過去の資源高や円安などのコスト上昇分の価格転嫁が根強く続いていること、などを挙げています。

特に、資源高や円安によるコスト上昇分の価格転嫁については、現時点で、原油価格が上昇し、かつ円安も再び進み始めていることからすると、今後も当分は、企業間の取引における価格転嫁が続くと考えられます。

そうである以上、企業が最終消費者に販売する製品価格への価格転嫁も、そう簡単には終わらないかもしれません。

確かに企業物価指数の前年同月比は、徐々に上昇ペースを弱めつつあるものの、それによって消費者物価指数の上昇率が3%を割り込み、日本銀行が目標値にしている2%に落ち着くには、まだ時間がかかりそうです。

私たちは30年以上にわたって、物価の上昇が続くという経験をしていません。だからこそ、これからはさまざまな生活行動を、継続的な物価上昇局面にアジャストしていく必要があるのです。