お盆休みを利用して帰省していた方も結構いらっしゃると思いますが、自動車を使って帰省した方は、きっと2つの悩みがあったのではないでしょうか。

1つは渋滞。今年の夏休みは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動規制が全くないため、高速道路はかなり渋滞しました。

それに加えて頭が痛いのは「ガソリン代」だったのではないでしょうか。ガソリン価格を調査している石油情報センターによると、レギュラーガソリンの小売価格は、7月末時点の全国平均で1リットルあたり176.6円となり、11週連続の値上がり。およそ15年ぶりの高値になりました。

ガソリン代が上がった理由

原油価格の値動きをさかのぼってみると、直近で高値をつけたのが2022年6月14日の1バレル=123.68ドルでした。そこから下落トレンドをたどり、2023年5月4日には一時、1バレル=63.57ドルまで下落しましたが、7月に入ってから上昇トレンドに転じ、8月10日は1バレル=84.89ドルの高値をつけました。

上記の数値は、米国における原油価格の指標的存在であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)という油種の価格ですが、そもそも原油を精製することによってできるのがガソリンなので、原油価格とガソリン価格は同じ値動きをします。原油価格が上昇すれば、当然のことですがガソリン価格も上昇します。

原油価格およびガソリン価格が上昇したのは、サウジアラビアなど主要産油国が原油の減産を表明していることに加え、世界的に景気の先行き懸念が薄らいだことによって、原油およびガソリンに対する需要が高まりつつあるからです。

さらに日本では、燃料価格の負担軽減策として、2022年1月から石油元売り会社に国が補助金を支給しており、ガソリン価格の上昇が抑えられてきたものの、今年1月からは補助金を徐々に縮小していることも、ガソリン価格の上昇につながっていると考えられます。

実際、経済産業省の見解として、補助金によってガソリン価格は1リットルあたり8.1円抑制されていると言っています。7月末のガソリン価格が1リットル=176.6円ということでしたが、補助金がなかったら184.7円になっていたとも言えるのです。