1000億円の大型買収で目指すグローバル化

IRに代わり、セガサミーの投資で注目されているのがロビオの買収です。フィンランドに本社を置くモバイルゲーム企業で、累計50億ダウンロードを突破した『アングリーバード』の開発元として知られています。

セガサミーは2023年4月、ロビオの全株式を公開買付で取得すると表明しました。費用はおよそ1036億円としており、公開買付が成立すればセガサミーにとって過去最大規模の買収になるとみられています。

大型買収の目的は海外向けモバイルゲームの強化です。セガサミーのコンシューマゲーム事業においてモバイルは約4割を占めますが、その海外売上比率は1割ほどしかありません。ロビオは北米を中心に約3億ユーロ(1ユーロ=155円で約465億円)の売上高を持つ企業で、セガサミーは同社を買収することでモバイルゲーム事業の海外売上比率が約45%に上昇すると試算しています。

【ロビオの地域別売上高(2022年)】
・北米:70%
・欧州・中東・アフリカ:19%
・アジア太平洋:11%
・ラテンアメリカ:1%

出所:セガサミーホールディングス 決算説明資料

世界のゲーム市場はモバイルを中心に成長しており、セガサミーはこれを長く取りこぼしてきました。海外で成功するロビオの買収に成功すれば、セガサミーのもう一段の飛躍につながるかもしれません。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)