・ドラッグストアの先駆者「マツキヨ」 投資家に好かれる“高利益率”のワケ

「富士フイルムホールディングス」の株価が反発しています。売上高が大幅に伸び、翌期も増収増益を予想した2023年3月期の決算が好感され、月足は大きな陽線を描きました。2021年9月の上場来高値(1万55円)を更新できるか関心が集まっています

【富士フイルムHDの業績】

※2024年3月期(予想)は、2023年3月期時点における同社の予想

出所:富士フイルムホールディングス 決算短信

【富士フイルムHDの株価(月足、2020年5月~2023年5月)】

 

出所:Investing.comより著者作成

好調な業績が投資家に支持され、JPX総研が算出する「JPXプライム150指数」にも選ばれた富士フイルムですが、実は危機的な状況に陥った時期もありました。富士フイルムはどのようにしてピンチを乗り越えたのでしょうか。

デジカメ普及で市場消失 大苦戦した2000年代

富士フイルムは、大日本セルロイド(現・ダイセル)の写真フィルム事業を承継して1934年に誕生しました。当時は写真産業の拡大期にあり、カメラの普及に伴い富士フイルムは大きく成長します。同社の質の高い製品は引き合いが強く、一時はライバルの米コダックと世界シェアの大部分を握っていました。

しかし2000年頃からデジタルカメラが普及し始め、写真フィルム市場は急速に縮小します。富士フイルムのカラーフィルムも販売が急減し、それらが含まれる「イメージングソリューション」セグメントは2005年3月期から赤字が常態化しました。

【カラーフィルム事業の売上高】
2004年3月期:2039億円
2010年3月期:328億円

出所:富士フイルムホールディングス 決算説明会資料

【イメージングソリューションのセグメント利益(2004~2010年3月期)】

 

出所:富士フイルムホールディングス 決算説明会資料

デジタルカメラによる市場破壊はすさまじく、富士フイルムと激しいシェア争いを繰り広げ、“フィルムの巨人”とも称されたコダックは2012年に破綻しています。富士フイルムも構造改革に伴う費用負担が重く、またリーマンショックに伴う不況もあり、2010年3月期には最終赤字に陥りました。

【富士フイルムの当時の業績(2008~2010年3月期)】

 

出所:富士フイルムホールディングス 有価証券報告書