・デジカメ普及で窮地に… 富士フイルム「大規模リストラ」でヘルスケア企業へ転身

サイバーエージェントの株価がさえません。約50億円の純損失となった2023年9月期第1四半期の決算が発表された2022年1月から下落傾向を強め、同第2四半期で黒字に転じても低迷が続いています。創業以来25期連続の増収(2022年9月期)と売り上げは好調ですが、利益面が厳しく評価されているようです。

【サイバーエージェントの業績】

※2023年9月期(予想)は、同第2四半期時点における同社の予想

出所:サイバーエージェント 決算短信

【サイバーエージェントの株価(月足、2020年6月~2023年6月)】

出所:Investing.comより著者作成

もっとも、サイバーエージェントはエクイティ・スプレッド基準から「JPXプライム150指数」に選ばれており、収益性は一定の評価を得ています。株価が下がったことで投資を検討する人も少なくないでしょう。

※エクイティ・スプレッド(ES):企業の利益率が投資家の期待をどれほど上回っているか表す指標。ESが正なら投資家が期待する以上の利益を生み出しているとされる。JPXプライム150指数においては、推定ESが正でかつROEが8%以上の銘柄が選定候補 。

サイバーエージェントとはどのような企業なのでしょうか。同社の収益源や歴史を紹介します。

『ABEMA』や『ウマ娘』で躍進するインターネット企業

1998年3月に創業されたサイバーエージェントは、“クリック保証型”の広告で急成長した企業です。

従来のインターネット広告は、単純なページ表示で広告費が決まることが一般的でした。そこに目を付けたサイバーエージェントは、堀江貴文(ほりえ・たかふみ)氏に開発を依頼し、サイト訪問者のクリックに連動して価格が決まる「サイバークリック」をリリースします。

サイバークリックは業界を席巻し、同社を瞬く間に大企業へと押し上げました。初年度の売上高は2000万円でしたが、翌1999年度に4億5000万円へと22倍以上に急増しています(出所:総務省 ICTベンチャー・リーダーシップ・プログラム)。

現在でもインターネット広告はサイバーエージェントの屋台骨ですが、ほかに「ゲーム事業」や「メディア事業」も順調に育っています。特にゲーム事業は『グランブルーファンタジー』や『ウマ娘プリティーダービー』といった自社IP(知的財産)のヒット作に恵まれ、3事業で最大の利益を稼ぐようになりました。

メディア事業は動画配信サービスの『ABEMA(アベマ)』で投資が先行していますが、競輪などの公営競技のオンライン投票サービスである『WINTICKET(ウィンチケット)』が好調だったこともあり、2021年9月期から損失は縮小傾向にあります。サイバーエージェントはメディア事業を中長期の柱に位置付けており、収益化すれば次の成長を支える事業となるかもしれません。

【セグメント損益の推移】

出所:サイバーエージェント 決算説明会資料