投資家がウエルシアよりマツキヨココカラを選ぶ理由

現在まで業界をリードしてきたマツキヨココカラですが、実はシェアは首位というわけではありません。売上高はイオングループの「ウエルシアホールディングス」に劣ります。

しかし株式の時価総額はウエルシアが同業でトップクラスの水準にあり、直近の株価推移も明らかにマツキヨココカラが優位な展開となっています。このことから、より投資家に選好されているのはマツキヨココカラといえそうです。

【主なドラッグストアチェーン大手の時価総額(2023年6月26日終値)】
・マツキヨココカラ&カンパニー:1兆1570.30億円
・ウエルシアHD:6244.61億円
・ツルハHD:5391.77億円

なぜマツキヨココカラには投資家の資金が向かっているのでしょうか。理由の一つは利益率の高さにあると考えられます。大手3社の業績を比較すると、マツキヨココカラの営業利益率は他2社と比べ高い水準にあることがわかります。

【主なドラッグストアチェーンの業績】

出所:各社の決算短信

マツキヨココカラの高い利益率は、統合によるシナジー効果も影響していると考えられます。マツキヨココカラは、2021年10月に「マツモトキヨシホールディングス」と「ココカラファイン」が統合して誕生しました。

マツキヨココカラは統合を進め、それまで両者が個別に実施していたマーチャンダイジングやサービスを一本化します。その結果、小売り事業の営業利益率はマツモトキヨシグループで1.3ポイント、ココカラファイングループで4.0ポイント改善しました(2021年3月期比)。

またPB(プライベートブランド)の強さも関係しているとみられます。マツキヨココカラは「RECiPEO(レシピオ)」や「THE RETINOTIME(ザ・レチノタイム)」といった高品質PBを多数展開しており、売上高に占めるPB比率は12.7%にまで高まっています(2023年3月期)。ウエルシアは6.3%(2023年2月期)であり、2026年2月期までに同10%を目指していることを踏まえれば、マツキヨココカラのPB戦略がいかに成功しているかわかります。

PBは開発にコストやリスクを負う一方、他社が作るNB(ナショナルブランド)を販売するよりも利益率が高い傾向にあります。マツキヨココカラの高い利益率は、好調なPBとは無縁ではないでしょう。

マツキヨココカラは、グループ経営目標として2026年3月期までに売上高1.5兆円、営業利益率7.0%を目指しています。今後も投資家を引きつけることができるのか、マツキヨココカラの動向が注目されます。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)